血液内科

血液内科
最終更新日:2025年6月30日

血液内科

移植病棟を有し無菌室は22床で、阪神地区の造血幹細胞移植病院として、70代半ばの高齢者移植も安全に行い、新薬も早々に導入し、血液疾患全般の治療も積極的に行っております。治療方針の決定に重要な遺伝子変異検査なども院内で行い、高齢者でもより安全な治療を行うため最大限に活用しております。また、数多くの臨床治験を行い、次世代の治療も行っております。

 血液内科スタッフ集合写真

血液疾患は高齢化とともに年々増加の一途を辿っておりますが、血液疾患の診断に関しては、難しいことが少なくはありません。疾患によっては診断が確定する前に、急速に進行してしまうことも稀ではありません。こういう状況でいかに早期に発見し、治療につなげていけるかどうかは、地域の開業医の先生、病院の先生、院内の他科の先生とも連携を取りながら、進めていかなければならないと思っております。疑われた場合には、速やかに病診連携を通じてご依頼頂ければと思っております。また、血液内科は阪神地区では数少ない専門科であり、一般の血液疾患については勿論ですが、特に造血器腫瘍の治療に力を入れて診療を行ってきました。その結果、常時30~45名の入院患者様を受け入れ、その大部分は急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群で占められております。2012年より同種造血幹細胞移植を開始し、新病院開院時より無菌病棟を新設しました。また、臍帯血移植および骨髄バンク移植の認定施設にもなり、1-4例/月のペースで同種移植を行っております。2018年度より大量エンドキサン療法を用いたハプロ移植を、2019年度より同種造血幹細胞移植の患者年齢を75歳まで拡大し、安全に施行できるようになっております。2021年度より無菌室を22床に大幅に増床しました。さらに院内でフローサイトメトリー、PCRを用いた微小残存病変の解析、遺伝子変異解析などを行うことで、治療開始時より移植の適応、治療方法や効果判定などを速やかに判断して、高齢者でもより安全な治療を行っております。今後も、さらに急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の治療や造血幹細胞移植を、より積極的に行っていきます。これまで同様に新規薬剤を積極的に取り入れた最新の治療の他、臨床治験も多数行っていきますので、宜しくお願い致します。

血液内科 2023年度主要疾患の新患

血液内科 2023年度主要疾患の新患の図解

科長ご挨拶

兵庫県立尼崎総合医療センター血液内科科長 渡邊光正(わたなべみつまさ)よりご挨拶

患者さんへのメッセージ

血液疾患を専門にしている病院は少なく、阪神地区の中心的な病院として、努力しております。この分野は日進月歩治療が進化しており、最新の治療を積極的に取り入れ、高齢者でもより安全に治療成績の向上を目指しております。血液腫瘍は遺伝子変異などにより悪性度が大幅に異なり、それらを考慮して最初から治療する必要があり、当院ではそのような検査を院内で行うことで、迅速に判断し、治療を行っております。一方、高齢化社会に伴い、ご高齢の患者さんが年々増加しており、生活の質も重視して安全に治療も行っております。また、移植治療や急性白血病の治療は入院期間が長くなることが多く、その場合でも、当院の無菌病棟や無菌室はゆったりした空間があり、少しでも快適に過ごして頂けるよう、空調設備のみならず、空間にも重点を置き、また早期退院を目指しリハビリ介入も積極的に行っており、安心して治療に専念していただけると思います。さらに、同種造血幹細胞移植の対象年齢を76歳まで拡大しましたが、安全に行えておりますので、他院で年齢で断られても当院では積極的に受け入れていきます。なお、移植コーディネーターを3人(認定HCTC)有しており、移植前後に関しても安心して相談して頂けると思います。また、臨床治験も数多く行っており、次世代の治療にも取り組んでおります。どうぞ宜しくお願い致します

ご紹介いただく先生方へのメッセージ

阪神地区に必要とされている移植病院として、無菌室、無菌病棟を充実させました。また、臍帯血移植および骨髄バンク移植の認定施設です。これまで同様に新規薬剤を積極的に取り入れ、エビデンスに基づいた最新の治療を提供するとともに、移植医療にも力を注いて参ります。同種造血幹細胞移植の対象年齢を76歳まで拡大しましたが、安全に施行できておりますので、他院で年齢で断られても当院では積極的に受け入れていきます。このように高齢者でも安全に治療を行うことを目標としておりますので、血液疾患を疑われた場合は、早めにご気軽にご相談いただければと思っておりますので、宜しくお願い致します。

対象とする主な疾患

急性骨髄性白血病

リスク(キメラ遺伝子、遺伝子変異、染色体など)、年齢、全身状態を考慮した治療を行います。

症状発熱(感染症など)、貧血(倦怠感、動悸など)、出血傾向
治療完全寛解や治癒を目指して、染色体や遺伝子変異に応じた化学療法、分子標的療法、分化誘導療法、造血幹細胞移植(再発・難治は70代中盤まで行いますが、TP53変異や染色体複雑核型の場合は治癒が難しく、お勧めしない場合があります)などを行います。

急性リンパ性白血病

リスク、年齢、全身状態を考慮した治療を行います。

症状発熱(感染症など)、貧血(倦怠感、動悸など)、出血傾向など。
治療完全寛解や治癒を目指して、化学療法、分子標的療法、抗体療法、造血幹細胞移植などを行います。

悪性リンパ腫

リンパ節腫脹、発熱、体重減少、寝汗など。

症状リンパ節腫脹、発熱、体重減少、寝汗など。
治療組織型に応じて、完全奏功や治癒を目指して、化学療法、抗体療法、アイソトープ標識抗体療法、放射線治療、造血幹細胞移植などを行います。

多発性骨髄腫

リスク、年齢、全身状態を考慮した治療を行います。

症状骨折(骨痛)、腎機能障害、貧血、高Ca血症など。
治療可能な限り測定可能な残存病変の消失を目指して治療を選択し、新規薬剤、化学療法、抗体療法、放射線治療、造血幹細胞移植などを組み合わせて行います。

骨髄異形成症候群

リスク、年齢、全身状態を考慮した治療を行います。

症状貧血(倦怠感、動悸など)、出血傾向、発熱(感染症など)。
治療リスクに応じて治療を行います。低リスクでは高容量エリスロポエチン療法や赤血球成熟促進薬を用いた貧血の改善や輸血の離脱を、高リスクでは、アザシチジンを用いた疾患の安定化や輸血の離脱を、さらには同種造血幹細胞移植を用いた治癒を目指した治療を行います。

慢性骨髄性白血病

リスク、年齢、全身状態を考慮した治療を行います。

症状多くは無症状。健診などの血液検査で、白血球増加で発見される。
治療分子標的療法など。

特発性血小板減少性紫斑病

年齢、全身状態を考慮した治療を行います。

症状出血傾向など。無症状で血液検査にて、血小板減少で発見される。
治療ステロイド、大量ɤグロブリン、ピロリ菌の除菌、トロンボポエチン受容体作動薬、脾摘、リツキシマブなど。

外来医師担当表

学会認定

  • 専門医教育施設として、日本血液学会認定臨床研修病院の認定を受けています。
  • 造血細胞移植施設として、非血縁者間骨髄移植・骨髄採取、臍帯血移植の認定を受けています。