パーキンソン病の最新治療

監修;兵庫県立尼崎総合医療センター 脳神経内科

パーキンソン病

パーキンソン病では黒質からのドパミン神経が障害されドパミンにより機能する神経(被殻・尾状核)が働かなくなる
→動作緩慢,振戦(ふるえ),筋強剛,歩行障害 etc.

不足したドパミンを補うのが最も効果的な治療。L-dopa内服→吸収→血流→血液脳関門→脳の神経細胞に取り込まれてからドパミンになり作用します。

L−dopa(レボドパ)の特徴

効果の発現が早い
効果がはっきりしていてわかりやすい
効果の持続が短い(半減期は1時間程度)
大量・長期間の服用でウェアリングオフ現象不随意運動(ジスキネジア)がおこりやすい
食前か食後かなど服用のタイミングにより吸収が大きく影響され、効果が変化することがある。

L-dopaはパーキンソン病治療薬のなかで最も効果のある薬。ただし...③④⑤のような問題点があります。

年月とともにL-dopaの効果持続時間は短くなり(ウェアリングオフ)、ジスキネジアもでやすくなります。L-dopa少量頻回投与ドパミンアゴニストの併用、ドパミン代謝を遅らせてドパミンの作用を長持ちさせる薬剤の併用、ドパミン以外の神経に作用する薬剤の併用など行いますが、しばしばコントロールに難渋します.時にはDBS(脳深部刺激療法)手術も考慮されます。

L-dopa内服の弱点を克服する最新の治療法

レボドパ/カルビドパ空腸投与ゲル(デュオドーパ®)

胃瘻を作成・小腸までチューブを通し、ゲル(半液体)状にしたレボドパ/カルビドパを、ポンプで持続的に注入する治療法です。レボドパ濃度が安定することでオフがなくなり、ジスキネジアも起こしにくいように調整できる。2016年より日本でも承認されました。

その他の新しい治療薬

L-dopa治療以外にも症状を改善させるための様々な治療薬が使用できるようになってきています。
2004年 ビ・シフロール®
2006年 レキップ®
2007年 コムタン®
2009年 トレリーフ®
2011年 ミラペックス®
2012年 レキップCR® アポカイン®
2013年 ノウリアスト® ニュープロパッチ®
2014年 スタレボ®
2018年 アジレクト®
2019年 ハルロピテープ®、エクフィナ®

内服薬だけでなく貼り薬や注射薬もあります

iPS細胞を利用した治療方法も研究・注目されています。

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