病理診断科が担う主な仕事は、病理組織診断、病理細胞診断、術中迅速診断、病理解剖、セカンドオピニオンです。
1.病理組織診断
組織を採取して調べる必要がある疾患に罹られた患者さんから、外来受診時や入院手術時に病変部分等を採取し、主に顕微鏡を使って詳しく調べる検査です。病気には大きくわけて腫瘍、炎症、代謝異常、奇形があり、そのいずれもが病理診断の対象になります。腫瘍であれば良性か悪性も含めたその種類、広がり、増殖様式、取り切れたかどうか、等を観察します。炎症であれば種類、広がり、原因(感染症、自己免疫疾患、アレルギー等)を示唆する情報等を詳細に検索します。病理検査室では、組織を薄く切って染色し、プレパラートと呼ばれる顕微鏡観察用標本を作製します。それらを病理医が顕微鏡で見て診断を行い、主治医に結果を報告して今後の方針が決まります。
2.病理細胞診断
喀痰・尿・乳汁はそのまま、子宮頚部・気管支・膵臓・胆道はブラシ等で擦って採取、甲状腺・唾液腺・リンパ節・乳腺・体腔液等は針を刺して吸引したものをガラスの板に塗りつけて染色し、プレパラートを作製します。組織検査よりも患者さんの負担が少なく、費用も安価な検査です。ただし、採取される細胞が少ないので、組織検査よりは診断確定に至る率は低下します。
3.術中迅速診断
主に外科系の手術中に、術前に診断が確定していない場合は病変の病理診断、悪性腫瘍であればリンパ節や他臓器に転移があるか、病変が取り切れているか等、術式や治療方針に影響する項目を、組織を凍結させて15-20分で標本を作製して診断し、術者に報告します。
4.病理解剖
亡くなられた患者さんのご遺体を解剖して、病態を詳しく調べる検査です。組織の一部を標本にして、顕微鏡での検査も行います。死亡に至った原因やそれまでの病態、生前の検査で分からなかったことも病理解剖によって明らかにします。
5.セカンドオピニオン
他の病院で、こういう診断と治療の説明を受けたが、他の医師の意見も聞いてみたい、という患者さんの病理標本を目にするようになりました。各科の外来を受診していただき、そのときに、もし他の病院で病理検査をしたことがあれば、標本をご持参ください。こちらでも診断を行います。非常に稀で、診断が難しい病気の場合は、必要であれば各分野のエキスパートに相談することも可能です。