- 院内外での活動
DMATとは?
災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team)の略称です。
専門的な訓練を受けた医師、看護師、業務調整員で構成される医療チームが、大規模災害や多数傷病者が発生した事故の現場などの現場で、急性期(おおむね48時間以内)に活動します。阪神淡路大震災の経験から、「防ぎ得た災害死」をなくすために発足し、これまで多くの災害現場でその効果を発揮しています。
当院は、救命救急センターであるのと同時に兵庫県に18ある災害拠点病院の一つでもあります。災害拠点病院とは「災害時における初期救急医療体制の充実強化を図るための医療機関」で、
- 24時間いつでも災害に対する緊急対応でき、被災地域内の傷病者の受け入れ・搬出が可能な体制を持つ。
- 実際に重症傷病者の受け入れ・搬送をヘリコプターなどを使用して行うことができる。
- 消防機関(緊急消防援助隊)と連携した医療救護班の派遣体制がある。
- ヘリコプターに同乗する医師を派遣できることに加え、これらをサポートする、十分な 医療設備や医療体制、情報収集システムと、ヘリポート、緊急車両、自己完結型で医療チームを派遣できる資器材を備えている。
以上の機能を有しています。
そして、近年の災害医療の現場でその効果を発揮しているDMAT(災害派遣医療チーム)を保有し、現在は医師、看護師、業務調整員合わせて17名の職員が日本DMAT隊員として登録されています。
去る7月29日に政府の主導で南海トラフ地震を想定した大規模な訓練が行われました。南海トラフ地震により兵庫県、大阪府、三重県、和歌山県が被災したという想定のもと、全国から1000人を超えるDMAT隊員が被災県に集まり、医療活動訓練を展開しました。医療機関の他にも消防、自衛隊、民間企業も多数参加しています。
兵庫県の中でも阪神圏域の被害は甚大となることが想定されており、数千人の死者および重傷者が発生するとされています。当院は阪神圏域に4ヶ所ある災害拠点病院の1つですが、今回の訓練においてDMATが被災地で医療活動を展開する際の拠点(活動拠点本部)として指定されました。全国から参集して阪神圏域に入ったDMATは、当院を拠点に周辺医療機関の被害状況の把握および診療支援、患者搬送の調整を行うことになります。
1階講堂に設置されたDMAT本部
模擬患者搬送訓練
自衛隊阪神病院から派遣された野戦型救急車
活動拠点本部に指定された責任は重く、当日に向け当院のDMAT隊員は何ヶ月も前から入念に準備を行いました。また今回の訓練を機に当院の設備や機材を見直し、どのような大災害にも対応できるよう整備しました。そのような準備の甲斐もあって、当日は大きな混乱を生じることなく訓練を終了しました。そして応援に来た他院のDMATからは、当院の充実した設備に高い評価をいただきました。
残念ながら、南海トラフ地震は今後高い確率での発生が予想されています。今回の訓練の経験をよく検証し、もしもの実災害が起きた時に当院がその機能を十分に発揮できるよう、より一層の体制の充実に努めたいと思います。
小児救急集中治療科 菅 健敬
訓練を終えての集合写真