AGMC 塗り薬で十分改善しない重症のアトピー性皮膚炎の患者さんを対象に新たな治療を開始

AGMC 塗り薬で十分改善しない重症のアトピー性皮膚炎の患者さんを対象に新たな治療を開始

アトピー性皮膚炎の新しい治療が、可能になりました

皮膚科の治療といえばステロイドの塗り薬や抗アレルギー剤の飲み薬というイメージでしたが、近年は注射薬が開発されて重症患者さんの治療に高い効果を上げています。

尋常性乾癬では現在までに6種類の注射薬が使えるようになり、皮膚症状が重症だったり関節症状があったりする患者さんでは治療の中心になりつつあります。医療費が多くかかり、副作用にも注意する必要がありますが、皮膚症状、関節症状とも高い効果があります。

慢性じんましんに対しても、従来は喘息治療を対象としていた注射薬(抗IgE抗体製剤)の使用が昨年認可されました。抗アレルギー剤内服で効果不十分な重症の患者さんに効果をあげています。

一方、皮膚科で最も重要で、患者さんの数も多いアトピー性皮膚炎の治療については変化がありませんでした。ステロイドや免疫抑制剤の塗り薬で十分改善しないような重症の患者さんに対しては免疫抑制剤やステロイドの飲み薬、紫外線治療などが用いられています。いずれも副作用が生じやすく、十分な治療が困難なこともあります。

アトピー性皮膚炎でも効果の高い治療薬が待たれていましたが、今年の1月にデュピルマブという注射薬が認可され、4月に販売開始されました。IL4,IL13という白血球から放出されるたんぱく質をブロックする働きがあり、重症のアトピー性皮膚炎患者さんを対象とした治験(臨床試験)で有効性と安全性が認められています。

2週間に1回の注射が必要で、やはり高額な医療費がかかりますが、強い副作用は少なそうです。治療の対象は、塗り薬で十分改善しない重症の患者さんです。当院でも治療が開始できることになりました。

また、当院の皮膚科では他のアトピー性皮膚炎治療薬についての治験も行っています。