最終更新日:2015年11月19日
煎じ薬を扱える公立病院は数える程しか無く、保険外生薬を含む漢方処方については当科独自に保険適応の生薬に差し替えており、当科のシステムは全国的に見て極めて異色です。この運用により自己負担ができるだけ少なくなるように配慮しています。漢方薬治療の特筆すべき点は、漢方薬がもつ三つの力すなわち、
- 病み疲れた身体を元気にさせる力
- 身体のなかの余分なものを追い出してすっきりさせる力
- 身体の代謝全般を整える力
によって、体調全般をまとめてよくすることにあります。
漢方薬は、一人ひとりの様々な症状に対してきめ細かく対応できる治療法です。当科では対象となる疾患を【漢方薬治療に向いている疾患】と【西洋医学と併用で相乗効果が期待できる疾患】に大別して考えています。具体的に病名を挙げると、アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患、気管支喘息・肺気腫・慢性気管支炎などの呼吸器疾患、慢性関節リウマチをはじめとする膠原病、変形性関節症・座骨神経痛などの整形外科疾患、月経不順・月経痛・子宮筋腫・子宮内膜症などの婦人科疾患、高血圧・糖尿病・脳血管障害の再発予防・肝炎・腎炎・不眠症・めまい・冷え性等の自律神経失調症・皮膚科疾患など多彩であり、幅広い領域にまたがっています。巷には、東洋医学に関する過度の効果の喧伝や医学的根拠のない情報が氾濫していますが、我々は、可能な限り医学の伝統的・良識的な手段を用いて地道に一人ひとりのQOLを高める努力をしています。