当センター精神科の役割は、精神疾患患者さんの重症身体合併症に対して、身体疾患の治療と精神科疾患の治療を円滑に提供していくことです。ER総合診療科、救急集中治療科と各診療科と連携して、身体合併症をもつ精神疾患患者さんの入院治療を行うことを基本方針としています。
精神科病棟には、「合併症を伴う精神疾患」に対応するための許可病床8床を設けており、精神保健福祉法に基づく入院治療を行います。
兵庫県における精神科身体合併症専門の病棟として、精神科医療の基幹病院である兵庫県立ひょうごこころの医療センターをはじめとする精神科医療機関と相互に連携して、精神保健福祉関連機関とともに、精神疾患患者さんの身体合併症に対して高度な医療を提供して精神保健医療福祉の向上に寄与することを目的としています。
精神科病棟では、患者さんが安心して身体合併症の治療が受けられるように、からだとこころのケアを専門にしたスタッフが24時間対応いたします。
切れ目のない専門的対応を提供し精神科病棟の運用安定までには4ヶ月程の期間を要しましたが、現在は順調に稼動しています。閉鎖病棟を持つ精神科の体制が整うことは総合病院の身体救急医療体制にとって必要なシステムであると考えています。精神科機能が病院の診療体制として整備され、多職種とともに積極的に活動することで病院全体への細かなニーズに対応することができ始めたと考えています。今後、スタッフの専門的知識と技能やコミュニケーションスキルの向上をさらに図りながら機能を少しずつ拡大し、より専門的なサービスの準備などをしていく予定です。
精神科らしさをさらに発揮するためには、安全で安心できるこころの治療のための時間や空間が必要であるとの考えに基づいて、患者さんのこころとからだのケアサポートに磨きをかけていきます。
精神科5つの特徴
① 救命救急センターとの円滑な連携
救命救急センターに入院された重症の患者さんに対する身体治療と精神科治療の切れ目のない専門的対応を提供します。
② 精神科医療機関からの精神疾患患者さんの身体的ケアと治療
精神科病院では対応が難しい重症身体合併症で、身体的入院かつ精神科入院の必要のある患者さんへの入院対応を提供します。
③ 兵庫県精神科救急医療システムの補完
救急・重症身体合併症の治療をすることから、精神科救急医療システムを補完する役割に特化しており、一般の精神科外来への対応は当面控えさせて頂きます。
④ 兵庫県立ひょうごこころの医療センターをはじめとする精神科医療機関との連携
身体的治療の必要性がなくなった患者さんは、速やかに精神科医療機関と密接な連携をとり、精神科診療に円滑に移行できるように運営致します。
⑤ コンサルテーション・リエゾン・チーム医療の実践
身体疾患に伴う種々の心理的問題をチームで治療します。不眠、夜間せん妄や術後のせん妄(意識障害)、不安抑うつ状態、認知症にともなう行動・心理症状、アルコールや薬物の離脱症状、内分泌疾患や自己免疫疾患にともなう精神症状、ステロイドやインターフェロンによる精神障害などへの対応、精神科薬物療法の調整、精神神経機能評価などを行います。終末期医療や透析・移植にともなう種々の心理学的問題もサポートしております。