対象とする主な疾患

消化管疾患---食道・胃・小腸・大腸  全消化管の診断・治療体制

“苦痛の少ない、精密・正確な診断”をモットーとして上部・下部消化管内視鏡検査をおこなっています。

セデーション下(鎮静剤を少量使用し、うとうとした状態の間に検査を行なう、いわゆる無痛性内視鏡検査)での検査をお勧めしています。検査後十分な覚醒まで休んでいただくリカバリーベッドを18ベッド準備しています。御希望があれば経鼻内視鏡(極細径スコープ)を使用した検査もおこなっています。

OLYMPUS社LUCERA-ELITEシステムでNBI詳細拡大観察も随時併用し、食道や大腸の病変の精細診断を行い癌の早期発見、病変の正確な範囲・深達度診断を目指しています。

また内視鏡センターでは画像をセンターモニター化して検査中の画像をリアルタイムに複数の内視鏡医が確認診断することで診断と安全性の向上を図っています。

またカプセル小腸内視鏡、ダブルバルーン・シングルバルーン小腸内視鏡を導入し、小腸病変への精査・治療体制を整えています。(2017年4月からOLYMPUS SF290シングルバルーン内視鏡を導入し、より簡便な小腸検査・術後胃症例の胆道アプローチの体制を整えました。)

カプセル小腸内視鏡検査はビタミン剤のような形状のカプセルを飲み込むだけで小腸全域を自動撮影する楽な検査で、小腸の出血性病変を見つけ出すのに有用です。バルーン小腸内視鏡は通常の胃カメラや大腸カメラで届かない小腸病変の診断・治療(止血、ポリペクトミーなど)に有用です。

内視鏡治療(早期食道癌・胃癌・大腸癌に対するESD・EMR、胃・食道静脈瘤に対するEIS・EVL、胃・大腸腫瘍に対するEMR・ポリペクトミーなど)も積極的におこなっています。

胆膵疾患---診断から治療まで

高齢化社会を迎え胆膵領域の疾患(腫瘍、結石症など)は増加しています。

胆膵領域ではERCPによる診断および経乳頭的治療(減黄術、EST、EPBD、EPLBD、採石術、ステンティングなど)多数手がけています。巨大総胆管結石はラージバルンを使用して一期的経乳頭的に採石を行なっています。胃手術例(R-Y再建胃症例の総胆管結石症例など)でも経皮的なインターベンション(PTCDなど)やシングルバルーン内視鏡(2017年3月導入)やダブルバルン小腸内視鏡などを用いる内視鏡治療を組み合わせて工夫した治療をおこなっています。

〈新病院消化器内視鏡センターの特徴〉

  • 6室の内視鏡検査・治療室と18ベッドのリカバリーベッド
  • 専用X線透視室を並置・・随時のERCP/PTCDが可能
  • 検査室すべてにCO2配管し、CO2送気による検査治療体制
  • 映像のセンター化・・全室の映像をセンターでモニターし、診断の正確性、検査・治療の安全性を確保
  • ERから搬送の緊急内視鏡処置患者さんへの迅速対応体制

肝疾患・・・テーラーメイドの治療

発癌予防のためには背景肝障害の主たる原因であるB型、C型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス療法は重要です。近年C型肝炎ウイルスに対する治療は劇的に進歩しており、インターフェロン(IFN)を使用しないIFNフリー治療で90%以上の症例で治癒可能となっています。ウイルスのタイプや薬剤耐性変異の有無などを十分に検討し最適な薬剤選択を行い薬剤部と連携し十分な薬剤指導を行うことで治療成績の向上に努めています。

IFNフリー治療により高齢かつ線維化が進行した高発癌リスク群が多く治療対象になっているためHCV排除後も肝発癌に対するフォ ローアップを行う必要があるため地域の先生方と連携を取りながら併診の形で一人一人の患者さまをフォローしています。

肝癌の早期発見、早期治療のために腹部超音波検査、腹部造影超音波検査、CT、MRIなど各種画像診断を組み合わせたきめ細かいフォローをしています。肝癌の治療として外科、放射線科と連携し、患者さまの病状に応じて肝切除、肝動脈塞栓術、ラジオ波焼灼療法などを選択し組み合わせることで患者様ごとにテーラーメイドの治療を提供できるように、またラジオ波焼灼療法では体位変換がしやすく人工胸水作成などに便利なラジオ波治療専用ベッドを使用し、造影超音波検査、CT画像を合わせたFusion imagingを併用することでより正確な治療が出来るように努力しています。

またRFAをより安全に正確に施行するために通常の超音波検査で描出困難な例では造影超音波検査やReal-time virtual sonography(あらかじめ撮像したCTやMRI画像を記憶させ、超音波画像と同一断面のCT画像を画面上に並べてリアルタイムに表示させるシステム)併用しています。

〈新病院消化器内科病棟(11E) 肝疾患治療専用室〉

  • 新病院の消化器内科病棟に専用の肝疾患治療室を設けました。ここには治療専用特殊ベッドと専用の超音波装置を設置して、病変の位置に応じた体位変換と人工胸水作成時の穿刺治療を容易にし、また通常の超音波検査で描出困難な例に対しては造影超音波検査やCT画像を合わせたFusion imagingを併用することでRFAやPEIT治療をより安全・正確に出来るように工夫しています。