対象とする主な疾患

顎顔面外傷

顎顔面外傷・顎骨骨折および口腔内軟組織裂傷などの処置を行います。

口腔腫瘍

口腔領域の良性・悪性腫瘍の治療を行います。また、顎の欠損は顎を含めた義歯(顎補綴)で術後の機能回復を図りますが、欠損が多い場合は顎再建手術を行います。この手術は他科との連携により包括的に行います。

顎関節症やその関連疾患

当科は兵庫県唯一の顎関節学会研修施設ですので、顎関節疾患の治療にも努力しています。顎関節症や習慣性顎関節脱臼では、一般の治療(手術以外の保存的治療)では効果が得られなかった患者さんには顎関節鏡視下手術、顎関節解放手術を行っています。また、症状によっては当科で開発してきた顔面皮膚に傷が残らない顎関節鏡を併用した外耳道からのアプローチでの低侵襲関節解放手術を適用しています。顎関節痛でお困りの患者さんがおられましたら、遠方の方でも気楽に紹介をしてもらってください。

顎関節人工関節置換術を行います。顎関節が動かなくて著しい開口障害を起こしている方で、従来の手術で改善が望めない方が対象です。全国で行われている施設が少ない同手術は、顎関節を人工関節に置換することにより、開口障害を改善させて食事摂取を可能にすることを目標にした手術です。

人工神経誘導修復術

当科では、歯科治療や口腔外科手術などによって、明らかな下歯槽神経や舌神経損傷に対しまして、人工神経(神経再生誘導材)移植を用いた神経修復術を行います。(この手術には適応基準があります。)

顎変形症

従来の下顎枝矢状分割法(SSRO)、下顎枝垂直骨切り術(IVRO)などの手術法に加えて、個人の下顎の解剖学的形態により、新しい手術法の下顎垂直矢状分割術(IVSRO)を選択することもあります。小顎症では、口腔内・外の固定装置を選択して骨延長を選択します。

医療保護入院での治療

医療保護入院は、精神保健福祉法で定められた、精神科病病棟への入院形態の一つで、入院治療が必要であるが本人が入院に同意しない、あるいは同意できない場合、精神保健指定医の判断を得て、保護者の同意によって入院治療を受けていただくことです。当院は精神科の協力のもと精神科病棟へのご入院が可能で、重度知的障害の方、自閉症の方や認知症の方などを対象に歯科治療、抜歯などの外科的治療を行っています。

自己血多血小板血漿療法(PRP:Platelet-Rich Plasma療法)を用いた顎骨増生
(厚生労働省認可2016年1月)

顎骨腫瘍や歯槽骨萎縮症などで、骨欠損の修復が必要な場合に、他部位から採取した骨とPRPを混合して、骨欠損部に充填して積極的な骨増生を図ります。具体的には、大きな嚢胞摘出後の骨欠損、歯科インプラント前の上顎洞底挙上術(サイナスリフト)などが対象です。

障害のある患者さんや口腔心身症や小児の口腔手術や歯科治療

歯科治療や手術を一般の外来診療や、鎮静麻酔下で行うことが難しい患者さんを全身麻酔下での歯科治療、手術を行います。

患者さんの中には、複数回での歯科治療が必要な場合があります。約2週間の間隔での全身麻酔下での治療を検討します。この場合は、治療計画を立てる必要がありますので、受診時に相談させていただきます。

智歯(親知らず)や顎骨内埋伏歯

1.局所麻酔での抜歯

当科では、智歯抜歯を含めた外来小手術は、日帰り手術として全て中央手術室で、月曜日、水曜日、金曜日に行っています。そのため、手術室を予約しますので、初診の当日に抜歯はすることができません。しかし、中央手術室での抜歯は下記の良い点もあります。

  1. 清潔操作で抜歯しますので、医原性感染の心配がないこと。
  2. 患者さんのバイタルサインや経皮的動脈血酸素飽和度を手術部スタッフが監視しながら抜歯を行っています(写真1、2)。

お薬で血が止まりにくい方、手術侵襲の大きい抜歯の場合や、遠方にお住いでご希望される方には、術後に1~2泊程度の入院をお勧めしています。

2.全身麻酔での抜歯

短期入院で短時間の全身麻酔下での抜歯を行っています。歯科治療恐怖症の方、身体に障害がある方、多数歯の抜歯あるいは解剖学的に抜歯するのが難しい方、局所麻酔剤にアレルギーがある方などが適応です。

  1. 前日午後入院→当日全身麻酔下手術→翌日午前退院(2泊3日)
  2. 全身麻酔下手術→術後入院→翌日午前退院(1泊2日)
  3. 外来通院で全身麻酔下に手術して帰宅(入院なし)
  • ※麻酔方法や抜歯の計画は、初診日の担当医に相談してください。
    ※3は小児の小手術が対象です。