開院までの経緯

開院までの経緯
最終更新日:2025年6月27日

基本構想での理念と方針

新病院の基本理念

マグネット・ホスピタル(※)の機能を有する阪神地域の総合的な基幹病院として、良質かつ適切な医療を提供することにより、県民の安全と安心の確保に貢献するとともに、医学の発展に寄与します。

※マグネット・ホスピタルとは

充実した診療体制や施設・設備を有し、高度専門医療を提供するとともに、高い人材育成能力を持ち、医師・看護師等を引きつけるだけではなく、患者さまからも高い信頼を得ている魅力ある病院

新病院の運営の基本方針

  1. 患者さまの立場に立った医療サービスに努め、患者さまと医療従事者の信頼関係に基づいた医療を提供します。
  2. 阪神地域の総合的な基幹病院として、医療の進展に対応するとともに、充実した診療体制のもと、先進的な高度専門医療を提供します。
  3. 患者さま・家族、地域の医療機関、保健機関、福祉機関等と相互に連携し、切れ目のない地域医療の実現に寄与します。
  4. 大規模な自然災害や事故、強力な感染症の流行等の発生時において、県民の安全と安心の確保に貢献します。
  5. 医療事故、院内感染等の防止のための医療安全対策を充実し、患者さまにとって安全で安心な病院づくりを目指します。
  6. 体系的なプログラムに基づいた教育・研修・研究を行い、医療従事者の養成並びに医学の発展に寄与します。
  7. 効率的な病院運営を図り、安定かつ持続して高度専門医療を提供します。

統合再編の基本的な考え方

尼崎病院は、阪神南圏域の中核病院として、高度専門医療を中心とした政策医療を提供していますが、近年救急患者や手術件数が大幅に増加している中で、現在の施設のもとでは、十分な対応が困難な状況になっています。

一方、塚口病院は、阪神地域における周産期医療と小児(救急)医療の中核的な役割を担うなど、成育医療を中心とした政策医療を提供していますが、医師の診療科偏在の影響等により、麻酔科や内科などの医師確保が困難になっていることなどから、小児の救命救急医療や成人への救急医療、ハイリスク妊娠等への対応が十分とは言えない状況になっています。また、建物の老朽化・狭隘化により、NICU(新生児集中治療室)の増床等の機能充実を図ることが困難となっています。

このような状況を踏まえ、兵庫県は、平成22年2月に「尼崎病院と塚口病院の統合再編基本構想(以下「基本構想」という。)」を策定し、その中で、尼崎病院と塚口病院は、お互いの診療機能の特長をさらに生かすことができることや、医師をはじめとした医療人材の一層の有効活用や新たな医師人材の確保を図ることができることなどにより、阪神南圏域にとどまらず、阪神地域全体の懸案となっている医療課題の解決が可能になることから、両病院の統合を行うこととし、機能を再編したうえで、新たな場所に新病院を建設することとしました。

この基本構想をもとに、新病院が今後担うべき役割を適切に果たすために必要な整備内容を具体化するため、平成22年12月に各部門の基本計画や施設整備計画等を定めた「尼崎病院と塚口病院の統合再編基本計画」を策定し、本計画に基づき、より質の高い医療を提供できる安全安心な病院の実現を目指し、着実な整備を進めています。

診療機能計画

1. 診療提供の体制

複数の診療科と多職種の協働により、超急性期患者さんに対して、効果的かつ効率的な医療を提供するため、専門センター制を導入します。

救急・総合医療

救命救急センター

阪神地域における救命救急センターとして、各診療科との密接な連携体制を確立し、地域の医療機関との連携と役割分担のもと、3次救急に対応し、救急患者さんに24時間365日断ることなく対応するER型救命救急医療を提供します。

総合診療センター

臓器別の専門診療科で対応困難な患者さん、さらには緩和医療、生活習慣や過去の病歴も含めて総合的に治療を行う全人的医療等を必要とする患者さんを対象とし、関連診療科との連携のもと、成人に対する総合的な医療を提供します。

成育医療

総合周産期母子医療センター

関連各診療科との連携のもと、ハイリスク妊婦や新生児に対する救命救急医療を含めた総合的な周産期母子医療を提供します。

小児救命救急医療センター

小児中核病院として、地域の小児救急医療体制において、小児の2次及び3次救命救急医療を24時間365日提供します。

小児総合診療センター

小児中核病院として、小児に対する高度専門的な診断、検査、治療を実施します。

高度専門医療

循環器センター

救命救急センターと連携しながら、循環器内科、心臓血管外科、小児循環器内科が協働し、心筋梗塞、狭心症、心不全、大動脈解離、先天性心疾患等の治療を実施します。

神経・脳卒中センター

救命救急センターと連携しながら、神経内科と脳神経外科が協働して、脳卒中や脳動脈硬化等の血管内治療、神経変性疾患等の治療を実施します。

がんセンター

関連する診療科と連携し、手術、放射線治療、化学療法を有効に組み合わせることにより、患者さんにとって最適な治療を行うとともに、放射線照射による治療や緩和医療を実施します。

生活習慣病センター

糖尿病・内分泌内科と関連診療科が協働し、高血圧症、高脂血症、糖尿病、糖尿病腎症等の生活習慣病の予防と総合的な診断・治療を実施するとともに、生活習慣病の危険因子である喫煙に対する禁煙治療を実施します。

消化器センター

がんセンターと連携し、消化器内科と消化器外科が協働し、消化器がん、肝炎・肝硬変等の消化器疾患の治療を実施します。

呼吸器センター

がんセンターと連携し、呼吸器内科と呼吸器外科が協働し、肺がん、中皮腫、慢性閉塞性肺疾患等の呼吸器疾患の治療を実施します。

先端・再生医療センター

臨床研究を終えた最先端医療を導入し、QOL(患者さんの生活の質)の改善を図るとともに、将来的には臓器移植が可能な準備を実施します。

2. 基本的な機能

  1. 24時間365日断らないER・総合診療型救急医療
  2. 妊婦、および新生児に対する総合的周産期医療
  3. 4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)の高度専門医療、および、その他の政策医療

3. 病床規模

病床数 730床

ER型救命救急センター 54床
重症対応病床(CCU・SCU等) 50床
小児集中治療室(PICU) 8床
母体・胎児集中治療室(MFICU) 8床
新生児集中治療室(NICU・GCU) 8床
手術室 18床
無菌室 12床
感染症病床 8床
精神科救急病床 8床

4. 診療科目

計42診療科

これまで尼崎病院と塚口病院で提供してきた診療科目を継承します。

内科系 内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、腎臓内科、神経内科、血液内科、腫瘍内科、糖尿病・内分泌内科、心療内科、緩和ケア内科、感染症内科、漢方内科、精神科、リウマチ科、アレルギー科
外科系 外科、呼吸器外科、消化器外科、心臓血管外科、脳神経外科、乳腺外科、整形外科、リハビリテーション科、形成外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科、泌尿器科、産婦人科、眼科、麻酔科、歯科口腔外科
小児科系 小児科、小児循環器内科、小児外科、小児アレルギー科
救急 救急科、小児救急科
診断治療部門 放射線診断科、放射線治療科、病理診断科

施設計画

1. 開院時期

平成27年7月1日 開院
※写真は新病院エントランスホール完成予想図です。

2. 建設場所

尼崎市東難波町2丁目(尼崎市立尼崎産業高校跡地)
阪神尼崎駅から、北西に約1.5km

3. 構造規模と施設配置

鉄骨造一部鉄骨鉄筋コンクリート造(免震構造)
地上11階・地下1階・塔屋2階、延床面積約77792.36㎡(県立尼崎病院の2倍)

整備スケジュールと建築記録

整備スケジュール

  1. 平成23年度:基本設計、実施設計完了
  2. 平成24年度〜26年度:第1期建設工事
  3. 平成26年度:竣工
  4. 平成28年度:第2期建設工事
  5. 平成28年度:全面供用

 

建築状況

2年間という限られた工期において、効率よく作業を進めて行くために、いくつかの工事が同時に並行して行われました。

平成27年4月

新病院名称は県議会の議決を経て正式に「兵庫県立尼崎総合医療センター」となり、各所に真新しい看板がお目見えしました。桜など周囲の植栽もきれいに整い、院内では、7月開院に向けさまざまな医療機器や什器設備の搬入・設置作業が急ピッチで行われました。

平成27年1月

新病院もようやく建物が完成し、各室の内装はもちろん院内の案内サインも整いました。造りつけの受付カウンターや病室の収納ユニットなども整備され、あとはベッドや机、椅子、ロッカーなどの什器、各種検査装置、医療機器、事務機器など、さまざまな備品類の搬入・設置が順次進められました。随所に天然木を使用し、優しさとぬくもりのある空間づくりを目指した新病院。その一端をご紹介します。

平成26年11月

平成26年10月

平成26年9月

新病院正面の外壁には化粧タイルが貼られ、新病院のイメージがはっきりしてきました。現在では、毎日約1000人もの職人さんが入って、間仕切り工事や壁下地工事、クロス貼り工事、防水工事、設備工事、配線・配管工事など、各種工事が文字通り急ピッチで進められました。

平成26年7月~8月

平成26年5月~6月

平成26年3月~4月

平成26年1月~2月 鉄骨組立工事(高層棟部8階まで)、耐火被覆工事や設備配管工事へと

鉄骨組立工事では、高層棟部8階(地上11階、地下1階)までが建てあがりました。その地下部では、大地震に備えた免震装置が取り付けを終え、現在、耐火被覆工事や設備配管工事が進められました。一方、1階部分では、すでに内装仕上げ壁下地工事が始まっており、2階~5階では、3階デッキ敷き、鉄筋・型枠・コンクリート工事が順次行われました。

平成25年11月~12月 基礎工事を終え、地上階の鉄骨工事

旧尼崎産業高校の解体工事、山留め工事、杭工事、掘削工事、基礎工事を順調に終え、現在、地下部に156台の免震装置を設置し、地上階の鉄骨工事を行いました。平成26年4月までに地上11階+PH2階の鉄骨工事を完了しました。さらに、学校本館、西館の解体工事を平成26年4月から行い、地下部へつながるスロープ棟を造り、地下駐車場と接続します。工事を進めるにあたり、タワークレーン2基、100tクローラークレーン2基、80tクローラークレーン1基と常に5台の揚重機と移動式クレーンを使用し、また、日々、150人~200人の職人さん(鳶、鉄筋、型枠、鉄骨、左官、設備他)が入って作業してくれました。年明けからの仕上げ工事の始まりとともに、職人さんの数もさらに増えピッチがあがります。

平成25年8月~9月 免震対策工事や鉄骨工事

全体風景写真からは、新病院が出来上がるのはまだ先のようですが、免震対策工事や鉄骨工事など土台となる基礎工事が着実に進みました。

平成25年6月~7月 基礎躯体工事

平成24年11月より解体工事を開始し、約9ヶ月が経過しました。現在、基礎躯体工事が最盛期で、日々150名ほどの作業員で工事が進められました。また、エレベーターシャフト部において、免震装置の設置及び、鉄骨工事も行われました。

平成25年3月~5月 掘削・仮設構台工事

杭打ち工事が完了した部分から、順次、掘削工事へと移行しました。この後、地下工事や基礎工事に使用する建設機械等の設置や搬出のための仮設構台工事に取りかかります。 後方にみえる建物は市立尼崎工業(定時制)高校で、H26年4月から解体されました。

平成24年12月~平成25年3月頃 山留め・杭打ち工事

H鋼を打ち込み、地下工事施工中の掘削の側面を保護して周囲地盤の崩壊や土砂の流出を防止する山留め工事を行いました。また、同時に建物の重量を支える地盤を堅固にするために地中を約35m堀り、杭を打ち込みます。この3月で138本のすべての杭打ちが完了しました。

平成24年11月〜 解体工事

中央の建物が尼崎市立尼崎産業高校(南館)で、その奥に見えるのが市立尼崎工業(定時制)高校です。尼崎市立尼崎産業高校は、「ザトベック投法」で知られる2代目「ミスタータイガース」の村山 実氏の出身校としても知られており、平成23年に市立尼崎東高校と合併し、尼崎市立尼崎双星高校(尼崎市口田中二丁目)として開校しています。

平成24年10月 安全祈願祭、起工式

10月20日(土)、尼崎・県立塚口統合新病院の安全祈願祭と起工式が、移転先である元市立尼崎産業高校グラウンド(尼崎市東難波町2丁目)において、井戸敏三知事、藤原昭一県議会議長を始め建設工事関係者や地元自治体関係者等が参列のもと行われ、新病院建設工事がスタートしました。

参考資料

兵庫県立尼崎病院の2014年度概要

兵庫県立塚口病院の2014年度概要

新病院への抱負

新病院開院へ向けてのスタッフの抱負や思い、診療科の開設などを紹介しています。