潰瘍性大腸炎の食事について
監修;兵庫県立尼崎総合医療センター 栄養管理部
潰瘍性大腸炎の食事について
バランスのとれた食事で、身体に必要な栄養を摂りましょう
- きびしい食事制限はないと言われています。
- 体調を考えてポイントを押さえる必要があります。
- 腸のただれや発熱で消耗した体力を回復するために、十分な栄養が必要です。
1日3食しっかり食べましょう
- 食事量を均等に分けて食べましょう。
- 食事時間は規則正しく食べましょう。間隔が長いと、次の食事を食べ過ぎる危険があります。
暴飲暴食を控えましょう
加熱したものを食べるようにしましょう
刺激の強い食品を控えましょう
- アルコールや炭酸、カフェインを含む飲みものを控えましょう。
- 辛さの強いスパイスなどの香辛料を控えましょう。(からし、わさび、唐辛子、タバスコ、コショウ類などの香辛料)
- 豆類やナッツ類はガスを発生しやすいため控えましょう。
炭水化物を十分に摂りましょう
- エネルギー補給に重要な栄養素です。
- 消化吸収される「糖質」と、消化吸収されない「食物繊維」に分けられます。
- 「糖質」は、他の栄養素と比べると、消化・吸収が早く、すぐに利用されることが特徴です。
- 体調の優れないときに、おすすめできる栄養素です。
脂肪は控えめにしましょう
- 脂肪はおなかを刺激して、下痢を起こす事があります。
- おなかを落ち着かせるには、脂肪を摂りすぎないようにすることが大切です。
- 極端な制限は、一部のビタミンの吸収を悪くし、骨を弱くするなどの悪影響を及ぼす可能性があります。適切な量を食べましょう
肉の脂質量について
肉:ヒレ < ひき肉 < もも < 肩 < 肩ロース < サーロイン < バラ
輸入肉よりも、和牛肉のほうが脂質が多く含まれる傾向にあります。
豚肉:ヒレ < もも < 肩 < ひき肉 < 肩ロース・ロース < バラ
鶏肉:ささみ < ひき肉 < むね肉 < もも < 手羽
調理で脂質を減らす方法
- 牛肉・豚肉(脂身を切り落とす)
- 鶏肉(皮を剥ぐ)
食物繊維の多い食品を控えましょう
- 体調に合わせて加減しましょう。
- 不溶性食物繊維は腸に刺激が大きいので注意しましょう。
分類 | 代表的な種類と食品 |
---|---|
不溶性食物繊維 | 豆類の皮、山菜、きのこ、海藻類、ごぼう・れんこん等の根菜類、こんにゃく、とうもろこし、もやし、ニラなど |
※腸に狭窄があると言われている場合は特に注意が必要です。
栄養成分表示を確認しましょう
- 外食やコンビニで食品を購入するときは、メニューや商品の栄養成分表示を確認し、脂質や食物繊維の量に気を配るようにしましょう。
- 100gあたり、1食あたりなど、単位ごとの栄養成分量が表示されています。商品によって異なるので、選ぶ際に確認しましょう。
過去にお腹の具合が悪くなった食材や料理は避けましょう
- カレンダーに記録をしたり、写真を撮って保存しておくこともおすすめです。
- 本では食べられる食材でも、自分の体には合わないこともあります。
- 食べる量が多い場合にも具合が悪くなる可能性があります。
- 体に合わない食べ物を調理をしてくれる家族にも伝えておきましょう。
- 血糖値を上げにくい甘味料や、むし歯ができにくい食品などに用いられる「人工甘味料」で下痢を起こす方もいます。
- 体調の良い時に少量ずつ試しましょう。
激しい下痢の時の水分補給について
- 水っぽい便を何度も繰り返しているとき、普段よりもたくさんの水分が身体から失われ、脱水症状となることがあります。
- 以下のような症状がある場合は、脱水症状が疑われます。
- のどが渇く
- くちびるが乾燥する
- 目がくぼむ
- 疲労感が強くなる
- 気力がなくなる
- 体力が消耗する
- 尿の量が減る
- 尿の色が濃くなる
- 体重が減る
- 下痢がひどくなりそうで不安になりますが、ひと肌程度の冷たすぎず、熱すぎない水分を、少しずつ回数を重ねて飲むとよいでしょう。
- 喉が渇いたという感覚がなくても、水分を補給することが大切です
- 便の中にはミネラルが含まれており、下痢が長引くことで体から不足する可能性があります。
- 経口補水液やスポーツドリンクが消化吸収がよくおすすめです。
経口補水液の作り方
★材料
- 水1L
- 塩3g(小さじ 1/2 杯)
- 砂糖40g(大さじ 4 と 1/2 杯)
- レモン果汁 50mL(適宜)
★作り方
すべての材料を混ぜ合わせます。果汁を入れることで風味が良くなり、飲みやすくなります。
まとめ
- 潰瘍性大腸炎は個人差の大きい病気です。
- 「何が刺激になるか」は人によって異なります。
- いろいろな食事を少量ずつ試して、安心して食べられるものを見分けていきましょう。
主治医やかかりつけ医院の管理栄養士にご相談下さい。