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ステロイド剤と副作用予防薬について

監修;兵庫県立尼崎総合医療センター 薬剤部

血管炎の治療薬

血管炎には免疫機能の異常が大きく関わっており、免疫機能の異常な活性化を抑える作用のあるお薬を用いて症状をおさえます。

治療薬

ステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤(抗体製剤)、選択的C5a受容体拮抗薬

ステロイド剤(副腎皮質ステロイド)

  • 腎臓の上部にある副腎皮質という臓器で作られるホルモンです。
  • ステロイドホルモンにはいくつかの種類がありますが、そのうちの1つであるコルチゾール(糖質コルチコイド)という成分と同じ作用を持つものを、現在のステロイド剤として使っています。
ステロイド剤(飲み薬)の種類
一般名商品名1錠量作用時間
ヒドロコルチゾンコートリル®10mg短時間型
プレドニゾロンプレドニン®5mg中間型
メチルプレドニゾロンメドロール®4mg中間型
デキサメタゾンデカドロン®0.5mg長時間型
ベタメタゾンリンデロン®0.5mg長時間型
  • 1錠が1日の体内分泌量と同程度の量になるように作られています。
ステロイド剤の飲み方
  • 初期に必要十分な量を服用する。
  • 経過を観察しながらゆっくり減量していく。
  • 朝に飲む量が多い。
自己判断で中止しない
  • ステロイドを内服している状態では副腎機能が低下・停止しており、体内のステロイドホルモンの産生が低下する。
  • 急に薬をやめるとステロイドホルモン不足となる。

ステロイドの副作用と予防薬

抵抗力が弱くなる
  • 感染対策として手洗い、うがい、マスク着用や口内を清潔に保つことを心がける。
  • 飲む量が多い場合は感染予防の薬を使用する場合があります。
肺炎予防
  • スルファメトキサゾール・トリメトプリム
    • 決まった曜日に内服する場合もある
    • 皮疹が出る、肝機能・腎機能が悪くなるようであれば他薬へ変更
  • アトバコン
  • ペンタミジンイセチオン酸塩
帯状疱疹予防乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(自費)
十二指腸潰瘍
  • 暴飲暴食を避ける。
  • むかつき、胃の痛み、食欲低下等の症状があれば申し出て下さい。
  • 予防薬として胃酸の分泌を抑える薬を飲む場合があります。
    ランソプラゾール、ファモチジン など
骨粗しょう症
  • 予防薬として骨が壊れるのを防ぐ薬や骨形成を促す薬を使用する場合があります。
    アレンドロン酸ナトリウム水和物、リセドロン酸ナトリウム水和物、ミノドロン酸水和物、デノスマブ、テリパラチド、テリパラチド酢酸塩
    内服薬、注射薬、自己注射など様々な投与方法があります。
  • 内服薬は決まった曜日または毎月の決まった日にちに起きてすぐ飲むといった注意が必要です。
不眠
  • 症状がひどい場合は医師に相談してください。
  • 睡眠薬が処方されることがあります。
血糖上昇、血圧上昇、コレステロール上昇
  • 検査(採血等)でチェックします。
  • 数値が高い場合は下げる薬が処方されることがあります。
白内障・緑内障
  • 目のかすみ、視力低下、眼痛など目の異常が現れた場合は医師に申し出てください。
ムーンフェイス(丸顔)
  • 顔に脂肪がついて、丸くなります。
  • ステロイド剤を減量すれば回復します。
  • ステロイド剤により食欲が亢進し、単純に太ることもあるので、カロリーの高い間食は避けてください。

薬の飲み合わせ

  • 組み合わせによって効き目が弱くなったり、逆に効きすぎたりすることがあります。
  • 薬と食べ物、飲み物との組み合わせにも相性があります。
    • タクロリムス水和物やシクロスポリンのような免疫抑制剤とグレープフルーツジュース。
    • アレンドロン酸ナトリウム水和物と牛乳、硬水 など

お薬手帳には他の病院で出された薬の情報などが載っていて、処方されたお薬との飲み合わせを薬剤師がチェックしています。病院や薬局に行くときには忘れず持参してください。

正しく飲んでこそ

  • 副作用とうまく付き合って、決められた量を決められた期間服用することが大切です。
  • 何か不安や疑問を感じた場合には、一人で調べて考え込んだり薬を止めたりするのではなく、相談してください。

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