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血管炎症候群について
(高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)

監修;兵庫県立尼崎総合医療センター 膠原病リウマチ内科

血管炎症候群

血管炎:血管に炎症が起きる病気

高安動脈炎

  1. おもに大動脈および、枝分かれする太い血管の炎症
  2. 以前は大動脈炎症候群ともいわれていた
  3. 若い女性、アジア人に多い(男女比 1:9)
高安動脈炎の症状
  • 全身症状(発熱、だるさ、体重減少、食欲低下など)
  • 血管系症状(障害を受けた部位による)・・・血管痛、四肢跛行、脈なし、左右血圧差
  • 心・肺症状(大動脈閉鎖不全症、狭心症、心筋梗塞)
  • 眼症状(霧視、視力低下)
  • 皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)
高安動脈炎の治療
  • ステロイド:プレドニゾロン 0.8-1.0mg/kgで開始。再燃が多い。
  • 生物学的製剤:トシリズマブなど。
  • 免疫抑制剤
  • 抗血小板薬(梗塞のリスクが高い時)
  • 手術が必要になることもある。

巨細胞性動脈炎

  1. 大型から中型の血管を侵す肉芽腫性血管炎
  2. 大動脈や頸動脈とその枝(浅側頭動脈、椎骨動脈、眼動脈)
  3. 側頭動脈炎とも言われていた
  4. 高齢者に多い
  5. リウマチ性多発筋痛症との合併
巨細胞性動脈炎の症状
  • 全身症状(発熱、だるさ、体重減少、食欲低下など)
  • 頭痛、顎跛行、頭皮の痛み
  • 眼症状(失明、視力低下)
  • リウマチ性多発筋痛症があれば、肩・大腿周囲の筋痛、朝のこわばり
巨細胞性動脈炎の治療
  • ステロイド:プレドニゾロン 0.8-1.0mg/kgで開始。視力障害があればパルス療法
  • 生物学的製剤:トシリズマブ
  • 免疫抑制剤
  • 抗血小板薬(梗塞のリスクが高い時)
  • 手術が必要になることもある

顕微鏡的多発血管炎(MPA)

  1. 小型血管に炎症を起こす病気
  2. 小型血管が多い臓器(腎臓、肺、皮膚、末梢神経)に障害がおこる
  3. 高齢者、アジア人に多い
顕微鏡的多発血管炎(MPA)の症状
  • 全身症状(発熱、だるさ、体重減少、食欲低下など)
  • 腎障害(血尿・蛋白尿などの尿検査異常、むくみなど)
  • 肺症状(空咳、息切れ、血痰)
  • 皮膚症状(あざ、潰瘍)
  • 神経症状(しびれ、脱力)
顕微鏡的多発血管炎(MPA)の治療
  • ステロイド:プレドニゾロン 0.8-1.0mg/kgで開始。再燃が多い
  • 生物学的製剤:リツキシマブ
  • 免疫抑制剤:シクロホスファミド水和物など
  • アバコパン
  • 血漿交換

多発血管炎性肉芽腫症(GPA)

  1. 小型血管に炎症を起こす病気
  2. かつてWegener肉芽腫症と呼ばれていた
  3. 1)鼻から肺の炎症(上気道・下気道病変)、2)腎炎、3)全身の血管の炎症
  4. 40~60歳の中高年齢で多い
  5. 西洋人に多い
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の症状
  • 全身症状(発熱、だるさ、体重減少、食欲低下など)
  • 腎障害(血尿・蛋白尿などの尿検査異常、むくみなど)
  • 肺症状(空咳息、息切れ、血痰)
  • 皮膚症状(あざ、潰瘍)
  • 神経症状(しびれ、脱力)
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の治療
  • ステロイド:プレドニゾロン 0.8-1.0mg/kgで開始。再燃が多い。
  • 生物学的製剤:リツキシマブ
  • 免疫抑制剤:シクロホスファミド水和物など
  • アバコパン
  • 血漿交換
顕微鏡的多発血管炎(MPA)、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の最近の治療の話題
  • 生物学的製剤:リツキシマブ
  • アバコパン
  • ステロイドを減量する試み

好酸球多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)

  1. 気管支喘息、鼻茸が先行して、その後血管炎による症状が出現
  2. かつてチャーグストラウス症候群、アレルギー性肉芽腫性血管炎と呼ばれていた
  3. 好酸球増多による炎症と血管炎による症状からなる
好酸球多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の症状
  • 全身症状(発熱、だるさ、体重減少、食欲低下など)
  • 末梢神経障害(しびれ、感覚低下、麻痺)
  • 皮膚症状(皮疹、潰瘍)
  • 肺症状(空咳、息切れ、血痰)
  • 腎障害(血尿・蛋白尿などの尿検査異常、むくみなど)
  • 心臓症状(呼吸困難)
好酸球多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療
  • ステロイド:プレドニゾロン 0.8-1.0mg/kgで開始
  • 免疫抑制剤:シクロホスファミド水和物など
  • 生物製剤:メポリズマブ

さいごに

  • 血管炎症候群は完治する病気ではありませんが、治療は進歩しています。
  • たくさんの薬剤が使われますが、すべてが重要です。きちんと内服しましょう。
  • 疑問がある場合は主治医に相談しましょう。

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