当院は関西で唯一の左心耳閉鎖術の指導医を要する施設です。
心房細動と脳梗塞について
心房細動とは心臓の部屋である心房が小刻みで不規則な拍動（細動）をする不整脈です。心房細動の患者さんでは、左心房の血流がうっ滞して血栓が形成されることがありますが、その90％以上は左心房の中でも袋状に突出した『左心耳』と呼ばれる部位で形成されます（図A）。この血栓が左心耳から剥がれて、動脈を通って脳に達すると脳梗塞（心原性脳塞栓症）を発症します（図B）。
心房細動になると動悸や不快な自覚症状が出現することがあり、心不全の発症リスクが増加することも分かっていますが、それ以外に心原性脳塞栓症の発症リスクが5倍に上昇するとの報告があります。そのために心房細動患者さんではワーファリン、DOACをはじめとする抗凝固薬（血液が凝固するのを阻害する薬剤）を服用して、心房内で血栓が形成されることを予防します。しかしながら、患者さんの中には高齢や他の病気のために出血リスクが高く、抗凝固薬の継続が困難な患者さんもおられます。あるいは抗凝固薬を服用しているにも関わらず脳梗塞を起こしてしまう患者さんもおられます。
カテーテルを用いて左心耳を閉鎖するWATCHMAN™システムについて
WATCHMAN™はカテーテルを用いて左心耳の中に留置することが可能で、左心耳に『蓋』をすることで血栓の形成を予防する新しい医療器具です。
これを用いた左心耳閉鎖療法は本邦では2019年9月から施行可能となりました。長期間の抗凝固薬の服用が困難な心房細動患者さんに本治療を行うことで、抗凝固薬を減量・中止することが可能となり、抗凝固薬の副作用である出血性合併症を減少させることができます。
Watchmanの適応となる患者さんとは
脳卒中および全身性塞栓症のリスクが高く、抗凝固療法が推奨されるが、抗凝固療法を長期間実施できない患者さんです。
Watchmanの留置の手技
治療動画
本治療についてのお問い合わせ
WATCHMAN植え込みに関するご相談、ご質問につきましては、かかりつけの先生と相談の上、尼崎総合医療センター循環器内科までご連絡ください。
相談窓口
尼崎総合医療センター循環器内科
今井 逸雄（水曜日外来）
※その他の曜日でも各担当医が対応可能です。