科長ご挨拶

兵庫県立尼崎総合医療センター ER総合診療科科長:吉永 孝之(よしながたかゆき)からのご挨拶

当科の業務は大きな2つの部門、総合診療と救急部門があります。一般診療と救急の違いはありますが、患者さんの病態を的確に把握し、必要な検査を行って診断をつけ、治療につないで行くことには変わりはありません。ER総合診療医の一番の基本姿勢は「目の前の困っている患者をまず診ること」です。

当科のスタッフは総合診療一筋の医師は少なく、それぞれが感染症、漢方、血液、緩和医療、消化器内科や救急・集中治療など得意分野を持ち、それを向上させていくことに努めています。得意分野の知識を他のスタッフと共有することにより、科全体のレベルアップにつながっています。特に感染症科とは密な関係にあり、総合診療部門では毎朝のチームカンファレンスや週2回の全体カンファレンスも合同で行っています。また救急部門では海外渡航者や隔離が必要な感染症患者の診察、検体のグラム染色、抗生剤選択の相談など深い関わりを持っています。またHIV感染症や海外渡航感染症患者で入院治療を行う場合は、当科に入院し感染症内科医と一緒に治療を行っています。

研修医を含む若手医師の教育にも力を注いでいます。総合診療を通じてだけでなく、年間12000台の救急車を受け入れている救命救急センターにおいて、軽症から最重症まで多くの患者を指導医と一緒に診ることによって多彩な疾患を経験でき、患者さんとの関わり方も学ぶことができます。また、豊岡病院とのウェブカンファレンス、院内救急カンファレンス、ICLS・BLS講習会、医学生を含む院外での教育カンファレンスなども運営しています。

総合診療部門

高齢化社会を迎え、一人が持つ疾患も複数となり、患者さんの病態も以前に比べてずいぶん複雑となりました。最近では高齢者のフレイル(体がストレスに対して弱くなっていく状態のこと)が大きな社会問題となっており、疾病に対する医療行為だけでなく精神面や社会的なサポートも必要とされています。私たちは疾病を治療するだけでなく、精神面を含めた全身状態を診ることにより、患者さんに少しでも早く回復し社会復帰していただきたいと考えています。

主訴が多岐にわたる、病態がはっきりしない、発熱の原因がわからない、メンタルなことが原因なのかはっきりしない患者さんなど、困ったことがあれば当科の外来へお越しください。診察・検査を行い、必要に応じて専門科へ紹介します。地域医療の先生方にも是非お役に立ちたいと思っていますので、お困りのことがあれば病院の窓口としてお使いいただきますようよろしくお願いいたします。

救急部門

病院の掲げる「断らない医療」を実践するため、最後の砦としての意識を持って診療に当たっています。当科の日本救急医学会救急科専門医・指導医を中心として救命救急センター初療部門の運営を行っています。1次~3次救急まで受け入れる北米型ER型のシステムをとっているため、軽症のウォークイン患者から多発外傷や心肺停止患者などの3次救急患者までさまざまな患者さんが受診あるいは救急搬送されます。一見軽症に見える患者さんの中から重症を拾い上げるのは、救急医として腕の見せ所でもあります。小児患者に対しては小児救命救急センター医師、その他の診療科においても当直・オンコール医師により手厚いバックアップ体制があるのも強みです。この救命救急センターで3年間研修を行うことによって、幅広く救急患者を診ることの出来る次世代の医師を育てたいと思っています。