救急科専攻医募集案内

救急科では専攻医を募集しています!

救急科専門医:魅力あふれるその役割

心停止や多発外傷などにより生命の危機に瀕した患者を救急処置室で手際よく診療し、引き続きICUで集学的治療を行って患者の命を救うこと … それが救急科専門医を目指す皆さんの頭に描かれた救急医の姿かもしれません。しかし、それが救急科専門医の仕事のすべてではありません。救急外来(ER)には昼夜を問わず多種多様な症状を訴えて多くの患者が訪れます。重症患者への対応だけでなく、軽い症状の裏に隠れた緊急度・重症度の高い病態を見抜いて適切な初期治療を行うことや重症化に至る初期段階でその病態を捉え、速やかに適切な各専門診療科へ導くことも大切な役割です。

病院内だけが救急科専門医の活動場所ではありません。ドクターカーで現場に出動し救急隊と協力して傷病者の救護を行う病院前救護、大規模災害時に被災地への災害派遣医療チーム(DMAT:Disaster Medical Assistance Team)派遣、救急隊へメディカルコントロールを通じて適切な指示・指導・助言を行うことにより病院前救護の質を向上させることも大切な院外での役割です。

兵庫県立尼崎総合医療センターが養成する救急科専門医像

兵庫県立尼崎総合医療センターER総合診療科は「救急科専門研修プログラム」の研修基幹施設として、救急患者の診療はもとより、救急科専門医の役割で示した幅広い役割を担うことができる知識と技術、そして広い視野を持った救急科専門医を育成することを目標としています。

兵庫県立尼崎総合医療センターの救急科専門研修プログラムの特徴

1)救急に偏らない研修

総合診療・感染症を深く学べる環境

ERには急性期疾患だけでなく、慢性疾患の急性増悪や慢性疾患が原因で生じる様々な病態で救急受診される患者も多く見られます。また近年増加している渡航後感染症や新型コロナウィルス感染症などの新興感染症患者を最初に診察するのが救急科専門医である可能性も決して低くありません。これからの救急科専門医には救急医学だけにとどまらず、鑑別を行うために広い視野と知識が必要と考えます。

兵庫県立尼崎総合医療センターの救急科専門研修プログラムでは、救急科、総合診療科、感染症内科の指導医・専門医がいる「ER総合診療科」に所属することで、救急医学の研修に軸足を置きつつも救急科専門医に必要な内科・感染症に関する幅広い知識と診療手技を学んでいただく環境を整えています。

多様な病態・疾患を深く学べる環境

兵庫県立尼崎総合医療センターには48の診療科・部門があり400名を超える医師が勤務しています。各科専門医へのコンサルテーションを通じて多様な疾患・病態への対応を学ぶことができます。また、希望される方には救急関連診療科で学ぶ機会を提供しますのでご相談ください。

2)救急を深く学ぶための研修

多数かつ多様な救急症例を深く学べる環境

兵庫県立尼崎総合医療センターでは「救急・紹介を断らない医療」を運営の基本方針に掲げており、年間一万件を超える救急車とほぼ同数のウォークイン患者を受け入れています。

顎関節脱臼や鼻出血、小児の肘内障にはじまり、敗血症性ショック、脳卒中、急性冠症候群、急性腹症など疾病・外傷を問わず、Common diseasesからCritical diseasesまであらゆる病態の患者をER総合診療科が中心となり、各科専門診療科と協力して救急外来で診療しています。

重症集中治療を深く学べる環境

救急外来で診療した重症患者は救急外来に隣接する8床あるEICUで治療を継続します。EICUは救急集中治療科が運営しており、救急科専門医、集中治療専門医の指導のもと、研修を受けて頂きます。

小児救急を深く学べる環境

当院は小児救急医療にも力を入れています。日本の救急科専門研修プログラムで小児救急を学べる機会はまだ少ないと思われますが、当院では小児科専門医の指導のもと小児救急を学ぶことができます。具体的には、ERで小児患者を診療した場合は全例、小児科あるいは小児救急科の医師にコンサルテーションするシステムをとっており、診療の質を担保するとともに救急科専門医を目指す医師の教育にも寄与しています。希望によりPICUでの研修も可能です。

重症外傷を深く学べる環境

当院の救急科専門研修プログラムでは7つの医療機関と連携しています。現時点では当院への重症外傷の搬送例が多くないため、重症外傷への対応に関する研修を希望される方には連携施設に出向していただくことで外傷診療を学ぶ機会を提供いたします。(県立災害医療センターなど)

病院前救護・災害医療を深く学べる環境

当院はドクターカーを運用しており、病院外での医療活動を学ぶことができます。また、2023年4月現在、当院には20名を超える職員がDMAT隊員資格を有しています。災害拠点病院として今後もDMAT隊員を養成しますので、DMATに興味ある方はご相談ください。

海外の救急医と交流できる環境

救急科指導医の人脈を通じてアジアや欧米の救急医と交流することができます。海外の救急医療に興味ある方は海外での学会・研究会等へ参加し、他国の救急医と議論することで見識を深めてみてはいかがでしょうか。

3)研修プログラム

  4~6月 7~9月 10~12月 1~3月
一年目 ER(1) 総合診療 総合診療 ER(2)
二年目 ER(3) 選択研修 連携施設での研修 EICU
三年目 EICU ER(4) ER(5) ER(6)
  • 「ER(1)~(3)」の研修では、救急外来での診療を通じて救急初期診療を学びます。初期研修医に対する指導的立場としての診療や指導医監督下での緊急度・重症度が高い救急患者の診療を通じて、救急初期診療の基礎を会得します。当院の救急外来には小児を含めて年間3万名近くの救急患者が受診されるため、多様な病態を経験することができます。
  • 「総合診療」では、総合内科専門医の指導下で急性期患者の入院診療を学びます。当院の総合内科専門医は病院総合診療医として、救急外来から入院される救急患者の入院診療を担当していることから、敗血症性ショックや原因不明の意識障害など集中治療管理を必要とする救急患者も主科として受け持ちます。感染症内科とも密接に連携して診療を行うため、感染症へのマネジメントも学ぶことができます。
  • 「EICU」では、集中治療専門医の指導の下、集中治療について学びます。EICUは救急外来を受診し集中治療が必要と判断された救急患者の診療を行っていますので、心停止、呼吸不全、ショック、薬物中毒や体温異常等の急性期の重篤な病態に対する集中治療管理を学ぶことができます。
  • 「連携施設での研修」では、7つの連携施設から一施設を選択し研修することができます。重症外傷の診療やドクター・ヘリ等の病院前救護などをこの期間に学ぶことができます。
  • 「選択研修」では当院他科あるいは7つの連携施設で研修する機会が与えられます。
  • 「ER(4)~(6)」では、救急外来で患者を診療するだけではなく、救急外来をマネジメントするリーダー医師としての能力を磨きます。当院の救急外来は、いわゆる北米型ERとして性別・年齢・症状の軽重を問わず受け入れています。多くの救急患者の診療を円滑かつ安全に行うには、救急外来の医療スタッフというリソースを適切に配分するなどのマネジメント能力が必要となります。二年間で培った救急初期診療・総合診療・集中治療の知識と経験という診療能力に加え、マネジメント能力を醸成することで、救急医としてゆるぎない自信を持つことができるようになります。
関連病院
  1. 公立豊岡病院組合立 豊岡病院
  2. 兵庫県災害医療センター
  3. 兵庫県立加古川医療センター
  4. 兵庫県立西宮病院
  5. 兵庫県立はりま姫路総合医療センター
  6. 飯塚病院
  7. 京都大学付属病院 初期診療・救急科

以上のように、兵庫県立尼崎総合医療センター救急科専門研修プログラムは、3年間で病院前救護・ER・感染症を含む総合診療・集中治療・外傷診療を満遍なく学ぶことができる研修プログラムです。当院の救急科専門研修プログラムについてご興味ある方、研修をご希望の方は下記までご連絡ください。連絡をお待ちしています。

西内辰也(Tatsuya Nishiuchi)
ER総合診療科部長 救急科専門医・指導医
amagasaki_er@yahoo.co.jp