皮膚の病気は目で見るだけで診断のつくことも多いのですが、残念ながら見ただけではわからないことも珍しくありません。そこで、特に皮膚腫瘍の場合はダーモスコープにより拡大して観察し、さらに必要なら一部を生検または全切除して、病理検査を行っています。また、一見ただの湿疹に見えても難病であったり、悪性の病気であったりすることもあり、皮膚腫瘍以外でも必要と思われる場合は皮膚生検をして病理組織検査を行っています。
1.ダーモスコピー検査
ダーモスコープは、皮膚表面を拡大して観察する装置ですが、単なる虫眼鏡ではありません。偏光レンズやエコーゼリーにより、皮膚表面の乱反射を除いた状態で内部の構造を観察する検査です。これにより、普通に見ただけでは判断の難しい皮膚病変の診断が可能になることがあります。最も有用なのは手のひら、足の裏のほくろが良性か悪性(悪性黒色腫)かを診断するときですが、他の場所でも、良性のしみ、ほくろ、血管腫、皮下出血と悪性黒色腫、基底細胞がんを区別するのに役立つことがあります。主に皮膚腫瘍の診断に用いますが、足の裏のタコ、ウオノメとウイルス性いぼとの区別、ウイルス性いぼが治癒したかどうかの確認、疥癬という、肉眼では見えない小さなダニが皮膚に寄生して発疹とかゆみが生じる病気の診断、膠原病の方の爪の根元に見られる変化など、ダーモスコープの役立つ分野が拡大してきています。ダーモスコープは器械で観察するだけなので体の負担はありませんし、費用も3割負担で200円余りしかかからない優れた検査ですが、すべての腫瘍で診断がつくわけではありません。
2.皮膚生検
通常はメスではなく、トレパンという太めの針のような器具で皮膚を3-5mm程度円形に切り取ります。局所麻酔をした後、病変の一部を採取して、病理組織検査を行います。生検したところは2針程度縫合します。だいたい1週間後に抜糸して結果をご説明しています。診察料などとは別に、検査費用として3割負担だと6-8千円程度かかります。麻酔注射自体の痛みがあり、少量ながら出血し、線状の傷あとが残ります。局所麻酔、皮膚切除、縫合という手順は手術と同じですが、一般的な小手術や抜歯よりも、体への負担ははるかに少ない検査です。