対象とする主な疾患

CKD

慢性腎臓病に伴う尿毒症、溢水、各種電解質異常、及び腎臓病に合併する高血圧症、糖尿病等を食事療法、運動療法、薬物療法等でコントロールしながら残存腎機能を極力維持し、透析導入を遅らせることにより患者さんのQOLの維持を図ります。

糸球体腎炎、ネフローゼ症候群

蛋白尿、血尿、腎機能低下、等の程度をそれぞれ総合的に判断し、これらの疾患の精査、診断、加療を行います。腎臓の糸球体のみならず全身疾患の結果発症することもありますので腎臓以外の各種臓器の精査も並行して行います。適応がある場合には、当科では5日間の入院での腎生検を施行し、腎臓の病理組織結果について病理専門医との相談の上、治療方針を決定しております。治療に関してはステロイド療法をはじめとした免疫抑制治療、及び原因疾患によっては血漿交換を施行しております

急性腎障害

脱水、尿閉及び各種全身疾患、または次項の腎炎症候群・ネフローゼ症候群等が原因となり、急速に腎機能の低下を認める疾患です。慢性腎臓病とは異なり、適切な治療で腎機能が改善することもあります。必要時は透析加療を施行の上、最終的には腎機能の改善を図るため各種検査、加療を行います。

末期腎不全

当院では透析導入(血液透析、腹膜透析)、入院中の患者さんの維持透析、急性血液浄化療法などあらゆる血液浄化療法を行っております。
血液透析導入にあたり内シャント、腹膜透析導入にあたり腹膜カテーテルが必要となりますが、当院では内シャント設置術、腹膜カテーテル留置術いずれも腎臓内科が施行しております。これにより慢性腎臓病保存期からの当科での一貫した診療を可能としております。また、内シャントに関しては内シャント狭窄に対する経皮的血管拡張術(PTA)も施行しております。
その他の血液浄化療法に関しては、血液濾過、血液透析濾過、血漿交換、免疫吸着等の各種血液浄化療法も行っており、新病院体制となっても幅広く対応していく所存です。

常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)

当院では、常染色体優性多発性嚢胞腎(以下ADPKD)の患者さんへの専門的治療を行っております。高血圧や腎機能低下、肝嚢胞、脳動脈瘤、嚢胞感染などADPKDの合併症の評価・治療のみならず、適応基準(両腎容積750ml以上かつ年間増大速度5%以上)を満たす方には、トルバプタン(商品名:サムスカ)による治療も行っております。具体的には2泊3日の入院でトルバプタンの内服を開始し、以降は外来にて月1回程度の通院で治療を継続してゆきます。

1/2の確率で遺伝します
1/2の確率で遺伝します
70歳までに約半数が末期腎不全に至るとされます
70歳までに約半数が末期腎不全に至るとされます