対象とする主な疾患

肺悪性腫瘍

若年や壮年の症例では拡大手術も積極的に行っていますが、高齢者や低肺機能の患者さんや早期肺癌の場合には、術後のQ.O.L.(生活の質)への影響を考え胸腔鏡下の手術・区域切除などの縮小手術を積極的に行っており、けっして医師の自己満足に陥らぬように心がけています。

原発性肺癌:当科では手術適応について相談がある肺癌症例に対してカンファレンスにて臨床的評価を行い各人に適した治療方針を選択しています。早期癌から進行期癌まで、気管支鏡による内視鏡治療から胸腔鏡下手術および拡大開胸手術まで幅広い治療を行っています。術後腫瘍の進行が診断されれば呼吸器内科にて術後補助化学療法を行い治療成績の向上に努めています。また早期の肺癌症例には積極的に地域連携パス(1)を用いて地域のかかりつけ医と共に術後パスに沿って抗がん剤内服、経過観察を行っていく方針です。

気胸

気胸とは肺から空気が漏れて肺が縮み、胸痛や呼吸困難などの症状を引き起こす疾患です。気胸が発症する原因は患者さんによって異なり、明らかなきっかけもなく発症したり、肺への直接的な衝撃が加わったりすることで発症する場合もあります。軽度であれば経過観察も可能ですが、手術が必要な場合、できるだけ早期の手術に取り組んでいます。可能であれば入院同日の手術も積極的行っています。

膿胸

胸腔内に細菌感染症がおこり胸膜腔に膿が貯留した状態が膿胸です。3ヶ月以上経過したものを慢性膿胸と呼びます。急性膿胸では胸膜腔にチューブを挿入し膿を排液しながら、原因菌に有効な抗菌薬を使用します。これらの効果が十分でない場合や慢性膿胸では胸膜剥皮術や開窓術などの外科的手技を要する場合もあります。

縦隔腫瘍

縦隔腫瘍の摘出には一般的に前胸壁の胸骨を縦切開した手術を行いますが、当科では患者さんの負担を軽減すべく胸腔鏡を利用し小開胸で行うようにしております。より非侵襲的な1ポートでの胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術にも取り組み始めています。当院内科には神経内科も有るため、重症筋無力症症例に対し拡大胸腺摘出術を施行する頻度も多くなっています。拡大胸腺摘出術においても胸腔鏡を用いた手術に積極的に取り組んでいます。

その他

アスベストの関係もあり悪性胸膜中皮腫の患者さんも多く見受けられ、悪性胸膜中皮腫の診断と治療も積極的に行っております。全身状態が許すならば積極的に胸膜肺全摘術を施行しており、術後の長期経過も良好だと考えております。巨大肺嚢胞の胸腔鏡下手術、バージャー病の胸腔鏡下胸部交感神経切除、縦隔鏡検査などにも取り組んでおります。

呼吸器インターベンション

気道狭窄(悪性・良性)に対して症状緩和を目的とし、レーザー焼灼、ホットバイオプシー、バルーン拡張術、ステント留置術などの内視鏡的治療も積極的に行っています。

胸腔鏡手術

外科的侵襲を縮小する胸腔鏡手術を行っています。(①当院のソフト凝固ポール電極を使用した手術が呼吸器外科学会のアムコ株式会社のホームページにて紹介されています)

肺癌手術はできるだけ非侵襲的な完全胸視下での手術を目指していますが、出血のリスクがある場合には胸腔鏡を併用した、開胸手術、小開胸手術前方腋下切開を併用し安全を第一に心掛けて手術を行っております。

共同研究

  1. 間質性肺炎合併肺がん切除患者における術後急性増悪予測スコアバリデーションスタディ REVEAL-IP(多施設共同非介入前向き研究)
  2. 胸部悪性腫瘍の発生と進展、治療効果、予後に関わる因子の解析