耳鼻咽喉科・頭頸部外科

耳疾患
耳は、大きく分けて外耳・中耳・内耳の3の部分にわかれます。
外耳は「耳介」と「外耳道」からなり、耳介で集めた音を外耳道で増幅させて鼓膜へ伝えます。
中耳は「鼓膜」と「鼓室」と呼ばれる空気の入った部屋からなります。鼓室内には「耳小骨」と呼ばれる3つの骨が連結しており、この骨が鼓膜に伝わった音の振動を内耳へ伝える役割を担っています。また中耳には顔の筋肉の動きに関与する「顔面神経」と顔面神経から分岐し味覚に関与する「鼓索神経」が走行しています。
内耳は「蝸牛」と「前庭」・「半規管」からなり、聴覚・平衡機能に関与しています。
耳は複雑な構造を呈しており、手術においては非常に繊細な手技が求められます。
当科では主に外耳と中耳に対する手術を行っております。手術的加療の適応については、外来診察にて、外耳道と鼓膜所見・聴覚機能検査・聴器CT等で評価を行い判断しております。
耳の手術には大きく分けて2つの方法があり、顕微鏡を用いた顕微鏡下手術と内視鏡を用いた内視鏡下手術です。
当院も含めて多くの施設では、顕微鏡を用いた顕微鏡下手術で、耳の後ろを切開し外耳道と鼓膜を持ち上げ、側頭骨を削開することで、病変のある狭い空間(鼓室)へアプローチして手術を行っています。顕微鏡下手術はアプローチの方法から、耳の後ろの切開創が大きくなる・側頭骨を削る必要がある・病変部を多角的に処理する必要があり、患者への手術侵襲が大きくなることがありました。
その中で近年、より侵襲の少ない手術として耳科領域でも用いられるようになったのが内視鏡です。経外耳道的内視鏡下耳科手術(trans endoscopic ear surgery:TEES)は外耳道に細い内視鏡を入れて、病変部をモニター画面で確認しながら手術を行います。TEESは、狭い空間である鼓室内を至近距離で大きな画面で確認することができます。また、外側の傷も聞こえの再建に用いる筋膜と軟骨の採取のための切開のみとなるため疼痛が少なく、創部の回復も比較的早いです。

TEESに関しましては、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会ホームページでも紹介しておりますので、詳細はhttps://www.jibika.or.jp/owned/hwel/news/019/をご参照ください。
中耳手術に対してTEESを導入している施設はいまだ多くないのが現状です。当科では2024年より中耳手術に対してTEESを導入し、耳科手術に対して力を入れて取り組んでいます。ただ、当科の手術方法の選択に関しての注意点として、患耳の病態および進行度によって適切な手術方法を判断しています。そのため、骨の削開が必要な疾患や病変が広範囲へ進展している症例に関しては従来通りに顕微鏡下手術を選択しています。
診察曜日 | 毎週火曜日午後 / 耳手術外来 |
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担当医 | 堀 |
2025年4月より火曜日の午後に耳科手術専門外来(予約制)を開設しておりますので、ぜひお気軽にお問合せください。