診療内容

外来

当科は、産科外来と婦人科外来の2つの外来を開設しています。婦人科外来は2階外来フロアのHブロックにあります。産科外来は3階総合周産期母子医療センター前のMブロックにあります。初診では、母子手帳をすでにお持ちか紹介状などで妊娠であることがわかる方は産科外来で、それ以外の方は婦人科外来で対応しています。問診・診察結果により一方の外来に移動していただく場合があります。

産科外来

当科では、総合周産期母子医療センターでハイリスク妊娠、メディカルバースセンターでローリスク妊娠の妊婦健診を行っています。妊娠の半ばまでは医師健診を行いますが、それ以降は、リスクに応じて医師健診、医師と助産師による交互健診、助産師健診のいずれかを選択します。助産師による懇切丁寧な相談・指導と、臨床検査技師による定期的な胎児エコー検査を組み合わせ、効果的かつ、快適な妊婦健診を行うよう心がけています。また、必要があれば、小児循環器医による胎児心エコー検査を依頼します。専門外来として、胎児診療外来、NIPT外来、出生前診断外来を開設しています。産前教室として、たまごクラス、バースクラス、ひよこクラス、ツインクラス、バースクラス(帝王切開バージョン)を開催しています。平成28年6月から、マタニティヨガを開始しました(月2回)。

婦人科外来

エコー検査、子宮頸部・体部細胞診、腫瘍マーカー、病理検査、コルポスコピー、CT検査、MRI検査などを駆使して正確な診断を行い、適切な治療の選択を行っています。CIN外来では近隣のクリニックよりご紹介を頂き精査を行っています。

入院(産科・周産期)

3階の総合周産期母子医療センター(メディカルバースセンター、一般産科病床含む)で産科・周産期診療を行っています。分娩室2室、ハイリスク分娩室1室、LDR(Labor-Delivery-Recovery)2室、陣痛室3室があり、LDRでは陣痛、分娩、回復期にわたり移動を必要とせず快適なお産をしていただけます。ハイリスク分娩室ではリスクに高い出産や産科手術を行うことができます。MFICU(母体胎児集中治療室)ではハイリスク妊娠分娩の集中管理を行います。10床の個室があり快適な入院生活を提供しています。新生児病棟(NICU、GCU)が隣接しており、治療の必要な場合は即座に新生児専門医が対応します。

入院(婦人科)

婦人科の患者さんは8階東病棟に入院していただきますが、救急受診の患者さんは原則、救急病棟に入院していただきます。手術直後はGHCU、あるいはGICUに入室していただく場合もあります。

悪性腫瘍

細胞診検査、病理検査、腫瘍マーカー、コルポスコピー、エコー検査、CT検査、MRI検査などを駆使して正確な診断を行い、適切な治療の選択に努めています。手術療法、抗がん化学療法、放射線療法を組み合わせた効果的な治療を行うとともに、合併症・副作用の軽減に努め、快適な入院生活を送っていただけるよう努めています。また、外来化学療法も積極的に行っています。

良性疾患

子宮筋腫、卵巣腫瘍などの良性腫瘍、子宮内膜症、および性器脱といった良性疾患においては、患者さんのご希望をしっかりくみ取り治療計画を立てています。外来での薬物治療のほか、必要があれば手術療法を選択する場合もあります。手術を選択する場合は、可能であればより低侵襲な内視鏡下手術を選択するようにしています。

産科セミオープンシステム

産科セミオープンシステムは、妊婦健診は近くの医院で、お産は設備・人員の整った病院で、という新しいお産のシステムで、利便性、快適性、安全性に優れ、これからの新しいお産のかたちを提供するものです。当科では平成23年11月より産科セミオープンシステムを開始しました。概要は以下の通りですのでご利用をご希望の方は産科外来、産婦人科担当医、または下記の登録医にご相談ください。

  • 妊娠初期に医院より当院に登録申込み
  • 以後、医院にて妊婦健診継続
  • 妊娠24〜28週ごろに当院を受診
  • 以後、医院にて妊婦健診継続
  • 妊娠36週ごろに当院を受診
  • 出産終了まで当院で妊婦健診継続
  • 出産は当院で
  • 産後検診は医院または当院で

産科セミオープンシステム登録医(平成30年10月時点)

  • 伊藤産婦人科医院(伊藤進一院長、尼崎市南塚口町1-7-5、06-6426-6177
    ホームページ http://www.ito-sanfujinka.com
  • 大原クリニック(大原敬太郎院長、尼崎市南武庫之荘3丁目21-24、06-6436-5668
    ホームページ http://cwaweb.bai.ne.jp/~oohara/
  • JUNレディースクリニック(村田純江院長、尼崎市潮江1丁目3-43、緑遊新都心ビル2F、06-4960-8115
    ホームページ http://www.jun-lc.jp
  • ウイメンズクリニック横田(横田光院長、尼崎市塚口町1丁目24-2、06-6421-7240
    ホームページ http://wclinic-yokota.com
  • いけざわレディースクリニック(池澤孝夫院長、伊丹市西台1丁目2-11、072-777-8184
    ホームページ http://www.ikezawa-clinic.jp
  • 産科婦人科衣笠クリニック(衣笠隆之院長、尼崎市若王寺2丁目15-5、06-6494-0070)
  • みつこウイメンズクリニック(山田美津子院長、伊丹市池尻4-9-14 リバーサイド池尻2階、072-744-2334
    ホームページ http://www.mitsukoclinic.com
  • レディースクリニックTaya(多養哲治院長、伊丹市伊丹1丁目10-14アリオ1 2F、072-771-7717
    ホームページ http://www.lc-taya.jp
  • 愛和レディースクリニック(高島正樹院長、伊丹市池尻1-204-2、072-770-2000
    ホームページ http://www.aiwa-ladies.com)
  • 清水産婦人科医院(清水 卓院長、宝塚市南口2丁目2-4、0797-72-0300
    ホームページ http://shimizu-wcl.com)
  • 武居レディースクリニック塚口院(武居智信院長、尼崎市上坂部1丁目1-1 ビエラ塚口3F、06-6499-3355
    ホームページ http://www.takei-ladies.com
  • さかねレディースクリニック(坂根理矢院長、尼崎市南塚口町3-4-27、06-4961-5151
    
ホームページ https://sakane-ladies.com

胎児エコー検査

当院で妊婦健診を受けていただいている妊婦さんには、妊婦健診時、必要に応じて、胎児エコー検査を受けていただいております。胎児エコー検査は、産科外来の診察室で医師・助産師が行う場合と、妊娠中に検査部超音波検査室で当院の臨床検査技師が行う場合があります。検査部超音波室での胎児エコー検査は、臨床検査技師が、ゆっくり時間をかけて胎児をエコー検査で観察し、何か異常がないかを調べます。妊娠20週〜23週、妊娠28〜29週、妊娠34〜35週に、妊婦健診とともに、当院の臨床検査技師が検査部超音波室で行います。所要時間は約30分です。いずれの回も、その前の妊婦健診のときに検査の予約を入れさせていただきます。エコー検査の予約枠の関係で妊婦健診の日程を調整させていただくことがありますし、場合によっては省略することがあります。

ご注意

産科外来と検査部超音波検査室での胎児エコー検査で、さまざまな胎児情報が得られます。胎児形態異常、胎児発育など、胎児エコー検査でわかる胎児の問題・異常については原則的にすべて妊婦さんにお知らせしていますが、胎児後頸部浮腫(NT)などのように、それ自体が異常というわけではないが染色体異常の確率との関連のある所見については、通常の胎児エコー検査では積極的には観察しておりません。ただ、これらの所見が偶然観察されることがあり、このような所見の告知を希望されない方はあらかじめお申し出ください。NTの積極的な観察・評価を希望される方は出生前外来の受診をお勧めします。

出生前診断外来

当院では、妊娠初期のNT(Nuchal translucency:胎児のうなじのむくみ)の観察、母体血清マーカー検査(クアトロテスト)の実施、およびそれぞれの検査に関する説明・カウンセリングと、羊水染色体検査に関する説明・カウンセリングを行う専門外来(出生前診断外来)を開設しています。これらの検査は、妊婦さんに必ず受けて頂きたい検査、というわけではなく、説明を聞いていただいたうえで、ご希望の方にのみ実施しています。完全予約制ですので、ご希望の妊婦さんは外来担当医にご相談ください。

NT(Nuchal translucency)

NTとは、超音波検査で観察される胎児の首のうしろのむくみのことで、程度の差はあれ多くの胎児にも認められるものであり、NT があるから異常というわけではありません。しかし、NT が厚くなると、その胎児には、染色体の異常(特に21トリソミー)や先天性心疾患の危険性が高くなると報告されていますので超音波検査で観察し、NTの程度と母体年齢により胎児の染色体異常の確率を推測します。あくまでスクリーニング検査であり確定的な結果が得られるものではありません。NTの測定は胎児の位置や向きなどの観察の条件により、十分な検査が行えないことがあります。正確な測定のため日を改めて再度検査を受けていただくことがあります。

母体血清マーカー検査(クアトロテスト)

母体血清マーカー検査とは妊婦さんから採血を行い、その血液中の3種類の物質の濃度と母体年齢から胎児の染色体異常(21トリソミー)や開放性神経管奇形(二分脊椎症など)の確率を推測するものです。あくまで、スクリーニング検査であり確定的な結果が得られるものではありません。採血は通常の採血と同様に短時間で終わりますが、結果が判明するのに約1週間を要しますので結果をお知らせするためにもう一度外来を受診していただく必要があります。

羊水染色体検査

羊水染色体検査とは、妊娠16〜18週ころに、半日入院していただき(事前の説明の日とは別に検査の日程を設定します)、母体の腹壁から穿刺用の針を子宮内に入れて羊水を採取し、羊水中に浮遊する胎児由来の細胞を回収して、これを検体として胎児の染色体を分析するものです。胎児に染色体異常があるかどうかの確定的結果を得るために行う検査です。穿刺にともなう合併症として、破水・子宮内感染・流産・胎児死亡などがあり、侵襲的検査といえます。羊水を採取してから結果が判明するまでに約3週間がかかります(FISH法を追加した場合は特定の異常のみ1週間程度で結果が判明します)。結果をお知らせするためにもう一度外来を受診して頂く必要があります。

ご注意

これらの検査は倫理的な問題を多く含んでいますので基本的にご夫婦で説明を聞いて頂いた上で双方の納得・同意が得られた場合にのみ実施しています。出生前診断外来受診時にはできるだけ(特に羊水検査の説明時には必ず)ご夫婦で来院して頂くようお願い申し上げます。

NIPT外来

ご注意

担当の先生へ

  1. 初めて申し込みされる場合はNIPT外来施設登録申請書をFAX(06-6480-7721)でお送りください。
  2. NIPTチェックリストを完成して頂き検査対象かどうかを確実に判定の後、申込書とともにFAX(06-6480-7721)でお送りください。

妊婦さんへ

  1. 妊婦さんがご自身で直接申し込むことはできません。
  2. 担当の先生とともにNIPTチェックリストを完成させ、検査対象かどうかを判定してください。
  3. 申し込まれましたら、1週間以内に受診日を電話でお知らせします。また、資料をご自宅に郵送いたしますので、受診日までによくお読みください。
  4. 受診日はかならずご夫婦そろって来院ください。

当科では、無侵襲的出生前遺伝学的検査(母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査)を「無侵襲的出生前遺伝学的検査である母体血中cell-free DNA胎児染色体検査の遺伝カウンセリングに関する研究」という臨床研究の1つとして行います。研究参加を希望される妊婦さんが検査を受けるためには当外来(NIPT外来)にて遺伝カウンセリングを受けていただく必要があります。かかりつけの担当の先生とともに妊婦さんが研究対象に該当するかをNIPTチェックリストでご確認いただき、NIPT外来申込書にてFAXで申し込んでください。妊婦さんが直接申し込むことはできません。NIPTチェックリストとNIPT外来申込書で適応がない、あるいは記入漏れがありその判断ができない場合にはNIPT外来の予約を取ることができませんのでご注意ください。

検査時期は、妊娠10週以降ですが、実際の検査はその後の検査計画を考えると、妊娠8週0日以降、妊娠14週0日以内での申し込みをお願いしております。また、検査料金が高額であるため、NIPT外来予約日1週間以内にかかりつけ医での児心拍の確認もよろしくお願いします。また後日妊娠・分娩経過について問い合わせをさせていただく場合があります。

検査の流れ

  1. 初めて申し込みをされる医療機関はNIPT外来施設登録申請書をFAXでお送りください。
    申込書、チェックリストをお送りいたします。
  2. 各医療機関から、妊娠8週0日から14週0日の間に、FAXで申し込み(チェックリストも同時に送信)
  3. 申し込みから1週間以内に、当院地域医療連携センターよりご本人へ電話にてNIPT外来受診予約日を通知
  4. 同時に郵送で資料送付
  5. NIPT外来を受診しカウンセリングを実施(ご夫婦同伴で)
  6. 希望者は採血日(カウンセリング当日でも可能)に受診し採血を受ける(ご本人のみで可)
  7. NIPT外来を受診し結果通知とカウンセリング実施(ご夫婦同伴で)
検査をご希望の妊婦さんへ

<研究参加に同意されており、以下の基準に該当する妊婦さんが対象となります>

  1. 高齢妊娠(出産予定日が35歳以上)である(凍結胚移植での妊娠の場合は採卵時の年齢が34歳2か月以上)
  2. 以前の妊娠・分娩で、児が染色体異常症*1であったことが確認されている
  3. 胎児が染色体異常症*1のいずれかに罹患している可能性が高い*2

*1:染色体異常症とは、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーをさす
*2:母体血清マーカーや超音波検査(後頚部浮腫などの所見)で染色体異常症*1のリスクの上昇を指摘された場合などを指す

<検査対象から除外される妊婦さん>

  1. 明らかな胎児形態異常がみられる(転座なども診断可能となる染色体検査を推奨します)
  2. 出産予定日年齢が34歳以下である(ローリスク妊婦での検査精度について検証されていない
  3. 凍結胚移植での妊娠の場合は採卵時の年齢が34歳2か月未満
  4. 両親のいずれかが転座などの染色体異常症の保因者である(染色体検査を推奨します、ただし、13/18/21番染色体に関連する転座などでは本検査の対象となる場合があります)
  5. 多胎妊娠(双胎、三胎以上の妊娠)である

<受診の流れ>

  1. 各医療機関から、妊娠8週0日から14週0日の間に、FAXで申し込み(チェックリストも同時に送信)
  2. 申し込みから1週間以内に、当院地域医療連携センターよりご本人へ電話にてNIPT外来受診予約日を通知
  3. 同時に郵送で資料送付
  4. NIPT外来(産婦人科外来で)を受診しカウンセリングを実施(ご夫婦での来院が必要です。費用30分まで5千円、1時間まで1万円)
  5. 希望者は採血日に受診し採血を受ける(検査費用約17万円)
  6. NIPT外来(産婦人科外来で)を受診し結果通知とカウンセリングを実施(ご夫婦での来院が必要です。費用30分まで5千円)
  • 1週間以上待っても電話連絡がない場合は地域医療連携センター(06-6480-7720)までお電話ください。

胎児診療外来

平成23年6月より胎児診療外来を開設させていただいております。以下のような内容となっておりますので、受診をご希望される方は担当の先生、または当院地域医療連携センターにご相談ください。

対象

  • 胎児に何らかの疾患が疑われるあるいはそのリスクが高いと推定される場合。
  • 専門医による胎児超音波スクリーニングを希望する場合。
  • そのほか、周産期遺伝相談の希望がある場合、など。
開設時間 毎週水曜日 午後2時〜4時
担当 廣瀬 雅哉(産婦人科部長)
日本産科婦人科学会専門医、周産期専門医(母体・胎児)
臨床遺伝専門医
診療受入体制 予約制(3日前までに)
胎児診療外来申込書をFAXで地域医療連携センターに送付してください。
地域医療連携センターから予約確定後速やかにFAXにて予約確認書を返送します。
遺伝相談は、当院外来受診2回目以降に利用可能となります。
診察所要時間 30分から1時間
料金 (平成28年4月時点。保険適応などで実際の内容と異なることがあります)
胎児エコー(保険適応):自己負担30%で2,400円または3,000円
胎児心エコー(保険適応):自己負担30%で3,810円
胎児エコー+胎児心エコー(保険適応):自己負担30%で5,400円
胎児スクリーニング(自費):初診料3,240円+胎児エコー6,360円
遺伝相談(自費):30分まで 5,250円、1時間まで 10,500円

胎児心エコー外来

胎児心エコー外来へ

無痛分娩について

当院では以下の方針で和痛(無痛)分娩を実施しています。

当院の方針

  • 医学的適応のある妊婦に対してのみ硬膜外和痛(無痛)分娩を実施する。
  • 無痛分娩麻酔管理者を指名する。(2018年6月時点:産婦人科 廣瀬雅哉)
  • 硬膜外和痛(無痛)分娩説明・同意書、和痛(無痛)分娩マニュアル、和痛(無痛)分娩看護マニュアル、急変時対応マニュアルを策定し、その内容を産婦人科医師、麻酔科医師、産科病棟助産師・看護師全員に周知徹底する。
  • 実施し際しては和痛(無痛)分娩マニュアル、和痛(無痛)分娩看護マニュアルを遵守する。
  • 母体救命講習会(JCIMELS)、および新生児蘇生法講習会(Aコース)を開催し、産婦人科医師、助産師、看護師の受講を推進する。
  • 関連するインシデントについては速やかに院内医療安全部に報告する。重大インシデントについては、兵庫県産科婦人科学会、日本産婦人科医会に報告する。死亡事例については日本産婦人科医会に報告するとともに、医療事故調査・支援センターへの報告と院内事故調査委員会の開催を検討する。

胎児治療

当院では、次のような胎児治療が実施可能です。

  • 胎児採血・輸血
  • 無心体双胎(TRAP sequence)に対するラジオ波熱凝固による胎内血流遮断術
  • 胎児腹腔穿刺・胎児胸腔穿刺
  • 経羊水的薬物投与
  • 経母体的薬物投与

無心体双胎(TRAP sequence)に対するラジオ波熱凝固による胎内血流遮断術

RAP sequence(Twin reversed arterial perfusion sequence、無心体双胎妊娠)は、一絨毛膜性双胎妊娠の1%(約35000分娩に1例)の頻度で発生する極めて稀な妊娠合併症です。胎盤表面の双胎間動脈吻合と器官形成期における一児死亡により、死亡児は逆行性血流路により不充分ながらも酸素・栄養の供給が維持され、紙様児となることを免れ、いわゆる無心体となります。本症は、健側児の心拍出が、胎盤表面の双胎間動脈・動脈吻合を介する逆行性血流路により既に有効な心拍出能を喪失した死亡児の血液潅流を代償する特異的循環動態を形成し、過剰駆出負荷の持続が高拍出性の代償性心不全を引き起こし、最終的に非代償性の心不全や胎児水腫となります。その周産期死亡率は50〜75%にも達するという報告もあり、厳重な周産期管理が要求されます。近年、ラジオ波熱凝固による無心体血流遮断術が報告され、その有効性が確認されています。

目的

ラジオ波熱凝固により無心体内の血管を凝固することにより血流を遮断し、健側児の心不全、胎児水腫、羊水過多症を改善させようとするものです。これにより、さらなる妊娠延長が可能となり、健側児は、生存はもとより、新生児期に濃厚な治療を要することなく成育することが可能となる効果が期待されます。

方法

母体に硬膜外麻酔、あるいは全身麻酔を施し、母体腹壁より超音波ガイド下にラジオ波熱凝固針を無心体臍部に穿刺し、血流遮断するまで段階的に電気エネルギーを増大させます。羊水過多症を伴っている場合は必要に応じ羊水除去術を併用します。

適応基準:以下の項目のうちいずれかにあてはまる。

  1. 無心体/健側児 腹囲比 1.0以上
  2. 羊水過多症がある(最大羊水深度 8cm以上)
  3. 健側児の血流異常(臍帯動脈の拡張期血流途絶/逆流、臍帯静脈の波動、静脈管の逆流、など)
  4. 健側児の胎児水腫
  5. 一羊膜双胎

除外基準:以下の項目のうちいずれかにあてはまる。

  1. 妊娠28週以降
  2. 著明な健側児心不全
  3. 頸管長20mm未満の切迫流早産例
  4. 継続を許容できない合併症を有する症例
  5. 健側児に重大な先天異常がある

使用する医薬品、医用材料

市販されているCool-tip RF System(RADIONICS社)及びラジオ波熱凝固専用針(RFA針)及びカラードップラー超音波診断装置。そのほか、麻酔・手術維持に必要な一般的な物品・薬品類

費用

本術式は、現時点では保険適応を有さないことから、その施行に関しては自費診療となります。概算では、治療に関わる患者負担は3日間の入院期間で約35万円〜40万円となります。入院4日目からは、通常の産科・周産期管理を要すれば一般健康保険診療での取り扱いとなります。また、治療の成否にかかわらず、通常の産科・周産期診療が必要と判断された段階で健康保険診療の対象となります。

地域連携CINパス(CIN:子宮頸部上皮内病変)とCIN外来

子宮頸部上皮内病変の患者さんにわかりやすく安全で質の高い医療を提供するために「地域連携計画書 子宮頸部上皮内病変用(地域連携CINパス)」を開始しました。「地域連携CINパス」では病気の経過を予測して良質な診療計画を立て、患者さんの納得を得たうえで当院とかかりつけの医師(かかりつけ医)が協力して診療にあたります。CIN外来は、子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診)で要精密検査となった患者さんにコルポスコピ—など精密検査を実施する外来で、かかりつけ医からファックスで予約を取ることができ、患者さんにとっては待ち時間と受診回数の軽減の効果があります。可能であれば、CIN連携ノートを用いて、精密検査・治療を行った当院とかかりつけ医が協力し、専門的な医療と総合的な医療をバランスよく提供する共同診療体制をつくります。

対象患者さん:CIN外来対象患者さん

  1. 明らかな子宮頸部浸潤癌が見つかっておらず、かかりつけ医による子宮頸部細胞診でASC-USかつHPVテスト陽性、あるいは子宮頸部細胞診でLSIL、ASC-H、HSIL、SCC、AGC、AIS、Adenocarcinomaと判定された、のいずれかの方。
  2. かかりつけ医が地域連携CINパスで管理していて、精密検査(コルポスコピ—、等)が必要となった方。

地域連携CINパス対象患者さん

  1. かかりつけ医からCIN外来へ紹介され、当院でのコルポスコピ—、ねらい生検で、子宮頸部上皮内病変(CIN)2度以下で、HPVタイピングで陰性、あるいは中リスクタイプが検出された方。
  2. 子宮頸部円錐切除術、あるいは子宮全摘術を当院で受け、術前後の病理診断で子宮頸部上皮内がんを超える病変がなかったことが確定した方。
  3. 高リスクHPVが検出され、当院で経過観察されていたが、CIN病変が検出されなくなった方。

手順

  1. 初診患者さんは、かかりつけ医から当院地域医療連携センターを通じて、当院CIN外来枠を予約していただきます。
  2. 地域連携CINパス管理下の患者さんで当院の受診が必要となった場合は、かかりつけ医に紹介状を作成していただき、患者さんは当院予約係に電話の上、CIN外来枠をとり受診していただきます。
  3. CIN外来で診察・検査を行い、結果が判明、方針が決定しましたら、かかりつけ医に報告書を送付いたします。その場合、地域連携CINパスの対象となった場合は、患者さんから同意書の署名をいただき、報告書とCIN連携ノートをお渡しし、次回のかかりつけ医受診時期を指示いたします。
  4. 術後に地域連携CINパス対象となった場合は、患者さんから同意書の署名をいただき、報告書とCIN連携ノートを渡し、次回のかかりつけ医受診時期を指示いたします。

子宮頸がん検診と子宮頸がん予防ワクチン

「子宮頸がんは簡単な検診で早期発見が可能です」

子宮頸がんにはがん検診が非常に有効です。定期的にがん検診を受けることで早期発見が可能です。子宮頸がん検診には公費助成制度があります(20歳から、2年ごと)。なお、当院は二次検診施設のため、公費助成制度による子宮頸がん検診は取り扱っておりません。

「若い女性の子宮頸がんが増加」

若い女性(20〜30歳台)の子宮頸がんが増加しています。20歳になったら子宮頸がん検診を受けましょう。(性交未体験の方は除く)

「子宮頸がんはヒト乳頭腫ウイルス(HPV)により発生することが判明」

ヒトパピローマウイルス(HPV)は性交体験のある女性の80%近くが一度は感染するといわれているごくありふれたウイルスで、多くの方では感染は一時的で何も問題ありません。しかし、一部の方ではこのウイルスが持続的に感染し子宮頸がんを引き起こすとされています。

「ワクチンで子宮頸がんを予防しよう」

子宮頸がん予防ワクチンが発売されました。このワクチンはHPVの感染を防止することで子宮頸がんを防ごうとするものです。若いうちにワクチン接種を受けましょう。中学1年生から高校1年生には公費助成制度があります(平成23、24年度)。ワクチンを接種しても100%の予防効果ではないので子宮頸がん検診は必要です。

「効果的に子宮頸がん検診を受けよう」

効果的な子宮頸がん検診の受け方として以下のような方法を提案します。当院では、子宮頸がん検診用の器具を綿棒からブラシに変更し検査の信頼性を高めました。

  • 20歳になったら子宮頸がん検診を開始(ただし性交未体験の方は除く)
  • 20歳代は毎年検診
  • 30歳以上は、3年連続異常なければ2年ごと、または、HPV-DNA検査併用で異常なければ2から4年ごと。
定期的に子宮がん検診を受けてきて70歳になったら検診の終了を検討

当院は二次検診施設となっておりますので公費助成での子宮頸がん検診をご希望の方はお近くの産婦人科クリニックにご相談ください。検診で要精検となりましたら二次検診施設の当院へお越しください。当院では自費での子宮頸がん検診と健康保険適応での子宮頸がん(精密)検査を取り扱っております。子宮頸がんワクチン接種は当院、および尼崎市医師会委託医療機関(尼崎市ホームページに掲載)で受けられます。当院で子宮頸がんワクチン接種をご希望の方は予約制となっておりますので当院産婦人科外来(06-6480-7000(病院代表))にお問い合わせください。